西洋料理の源流も! 古代ローマで人気の肉料理とは

西洋料理

「古代ローマの食べ物」といえば、どんなものを思い浮かべますか。全く想像もつかないという方も多いかもしれません。1千年以上続いたこの大帝国の時代は、豊かな食文化が花開いた時代でもありました。当時の人々が食べていたものの中には、その後の西洋料理の源流となったメニューや、今となっては想像もつかないような珍味がたくさんありました。
『図解 食の歴史』(高平鳴海 著)では、ギリシャ・ローマの食文化や西洋料理歴史をわかりやすく解説しています。
今回はその中から、貴族を中心とした古代ローマ人の食事内容を肉料理に絞ってご紹介します。私達も普段よく食べている豚肉や鶏肉を、彼らはどのように調理していたのでしょうか。

目次

西洋料理の源流①ローマ時代の豚肉料理

肉は全ての種類の家畜や、付近に生息する野獣を食べたが、特に豚は煮て食べることが多かった。豚肉は煮汁に溶けて柔らかく美味になるのである。『図解 食の歴史』p.80
ローマ時代の晩餐会は現代と同じようにコース料理になっていました。その中で肉料理は、主に前菜やメイン料理として登場しました。
豚肉はローマ人にとって身近な肉のひとつでした。現代では焼いたり炒めたりして食べることが多いと思いますが、ローマでは柔らかい肉が好まれたため、煮てから軽くローストするなどして食べられることが多かったようです。
ハムはローマ時代に植民地のガリア人かゲルマン人が発明したとされる。北方から持ち込まれて珍重された。『図解 食の歴史』p.80
ハムもソーセージもローマ時代にはすでに存在していました。年代ははっきりしませんが、ハムはローマ時代に発明されたという説があります。またソーセージは、ギリシャ時代に書かれたホメロスの『オデュッセイア』にも登場します。

また牝豚の乳房や子宮も珍味として人気があったようです。

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西洋料理の源流②ローマ時代の鳥肉料理

鳥の肉もバリエーションに富む。全ての家禽(かきん)はもちろん、ヤマウズラ、キジバト、ダチョウ、ホロホロチョウ、ミミズク、ウグイス、オウム、スズメなどを食べた。カエサルによれば、植民地のブリタニア人は家禽を軽蔑して食べなかったという。『図解 食の歴史』p.80
鳥の肉もまたローマ時代によく食べられていた肉のひとつでした。卵の人工ふ化場が設けられ、家禽の肉を太らせる方法も考案されたといいます。現代のようなニワトリの肉だけでなく、アヒルや野鳥の肉もまた身近な食材だったようです。
孔雀の肉も珍重されていました。味よりも外見の美しさが重視され、高い値で取引されていました。
世界三大珍味のひとつであるフォアグラも、この時代すでに存在していました。干しイチジクで太らせたガチョウの肝臓を、蜂蜜入りの牛乳に浸して調理していたと伝えられています。

また、ローマ人にとってメインの食事となる正午の食事「ケーナ」のメニューについて、本書では次のように記しています。
ケーナでは最初に卵が出て、最後にリンゴが出るのが常識だった。 『図解 食の歴史』p.66
ニワトリは肉だけでなく卵もよく食べられていました。晩餐会では決まって最初にゆで卵が登場しました。
当時、卵といえばニワトリの卵が中心でしたが、他に珍しい卵として鴨やガチョウ、孔雀の卵などもテーブルに並んだそうです。

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西洋料理の源流③ローマ時代のその他の肉料理

ローマ人はもともと牛肉は食べず、紀元前3 世紀までは牛を殺すことが禁止されていた。しかし、それも豊かになると緩和され、牛肉料理が食卓に上るようになる。『図解 食の歴史』p.80

ローマではもともと牛は農作業や荷物の運搬に使われた他、神への捧げ物にされることもありました。こうした理由もあり、当初は牛肉を食べるという習慣はみられなかったようです。
牛肉があまり食べられなかった理由はもうひとつあります。当時のローマでは柔らかい肉が好まれたため、豚肉よりも固い牛肉は長時間煮込まなければならず、食用に適さないと考えられていたのです。

この他ローマでは、ウサギ、羊、鹿、イノシシなどの肉も食べられていました。
また、ローマ人は珍しい食材を好んだため、現代では考えられないようなメニューも存在していたようです。
2皿目の前菜は、ギリシャ人の大好物とされたヤマネ(山鼠)の蜂蜜焼きだ。『図解 食の歴史』p.64

ヤマネは体長10センチほどの小型動物です。ローマ人はこれを壺の中で飼育し、丸々と太ったところで蜂蜜焼きにして食べていました。
 
珍味のひとつとして、ラクダの脚のグリルも人気がありました。これはヒトコブラクダの脚を軽く湯がいた後にグリルし、サフランで黄色く色づけされたソースをかけて食べるというものです。
他に当時の本や料理レシピに登場する珍味には、白鳥、フラミンゴの舌、インコ、キリンの脚などがあります。
このように、ローマでは現代日本よりもたくさんの種類の肉料理が食べられていました。今ではぎょっとするようなメニューもありますが、豚肉や鶏肉といった定番の味の中には、ローマから受け継がれたものも少なくありません。ローマの食事は中世ヨーロッパへと受け継がれ、現代の食文化の源流となったのです。

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本書で紹介している明日使える知識

  • 初期ギリシャ食文化は意外と質素
  • ローマの正賓-食後の菓子まで
  • ローマ貴族は奴隷の髪で手を拭いていた
  • 最高のワインと最低のワイン
  • ローマの飲料いろいろ
  • etc... 

ライターからひとこと

肉料理は現代でもよく食べられていますが、古代ローマの方が肉の種類も調理方法もバラエティーに富んでいて、試しに食べてみたいと思うメニューも少なくありません。
本書ではローマの肉料理以外にも様々なメニューが紹介されています。たとえばローマでは魚料理も豊富で、シャコやウナギといった、現代なら寿司ネタになりそうな魚介類も人気がありました。本書ではこうした料理の紹介だけでなく、このような豊かな食卓を支えた植民地の事情や、食事のマナーなどについても詳しく解説されています。