イラスト:緒方裕梨(@colornix) |
食肉は生贄にした動物!?
古代エジプトの人々にとって、肉を食べるのは特別なことでした。
どういう時に食べていたかというと、大切な客をもてなす時や動物をつかった儀式の後です。
一度に食べきれなかった肉は、塩漬けや油漬けにして保存する工夫もなされていました。なんと、牛の血を腸に詰めたブラッドソーセージなども作っていたようです。
主に食べられていたのは、牛・羊・牝ヤギなどの家畜や狩猟で獲った鳥獣、飼育していたガチョウ・ペリカン・ウズラ・カモ・鳩などです。めずらしい動物としては、ハイエナも食べられていました。
一方で、私たちがよく食べている豚や牡ヤギは不浄と考えられていたため、神殿に持ち込むことも禁止されています(ただし、地方では養豚も行われていました)。
庶民はナイル川から獲れる魚を食べた
庶民にとって肉類はぜいたく品だったため、主食には魚介を食べていました。
地中海が近い沿岸部では地引き網などの漁業技術が発達しており、たくさんの魚が獲れたのです。
よく獲れた魚はスズキ・ボラなどであり、日本ではカラスミとして珍重されているボラの卵巣を塩漬けにした「バターレック」も食べられていました。
また、エジプトといえばナイル川。このナイル川も水産資源が豊富で、コイ・ナマズ・カワハゼ・ウナギなどが獲れたようです。ただし、ナイル川は信仰と深く結びついていたため、神々と由縁のある特定の魚は禁漁期間が細かく定められていました。
パピルスはおいしい? 野菜と果物
メソポタミア地方とは違い、エジプトのナイル川下流域は肥沃な土地で、農作が盛んに行われていました。そのため現代と同じように多くの種類の野菜が採れています。
そのうちいくつかの野菜は薬効成分を認められ、薬草としても用いられていました。
上流階級は庭園をつくり様々な野菜を栽培していましたが、大ざっぱにわけると、中流階級は瓜類、貧しい人々は豆類を主に食べていたようです。
また郊外に自生するパセリは「砂漠のセロリ」と呼ばれ、盛んに食べられていました。
変わった植物としては、紙の原料で有名なパピルスも、糖分と油分が豊富ということで生のままか加熱したものが食卓に出されています。
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