【インタビュー】なろう小説の流行は!? 「ネット小説大賞」責任者に聞く【前編】

夏の小説祭りでパンタポルタにたくさんの小説を掲載することになったぱん太とぽる太。
せっかく小説を掲載したのだから、もっと小説を盛り上げたい!
「小説の分野は広すぎて一人の人にすべて聞くのは無理だよ」というアドバイスもあり、たまたま新紀元社に来ていたネット小説大賞運営責任者のKさんに、まずはインタビューをおこなうことになりました。





パンタポルタ×「ネット小説大賞」責任者K


ぱ:どうもこんにちは、Kさん。ネット小説大賞の打ち合わせも終わったばかりだけど、インタビューをしてもいい?

K:ああ、パンタポルタのインタビューですか? 大丈夫ですよ。

ぱ:やったあ、ありがとう! 
ぽ:早速ですけど、Kさんのことを知らない人もいると思うので、簡単に自己紹介をお願いします。

K:どうも、はじめましての方ははじめまして。クラウドゲームス株式会社でネット小説大賞の企画・運営をしていますKと申します。ふだんはオンラインゲームの開発・運営の他に、新紀元社様をはじめとして、複数社様のご協賛をいただきまして「小説家になろう」様と提携のうえで、かれこれ6年ほどネット小説大賞の運営をしています。
ありがたいことに第5回 は7000作品をこえる応募をいただきました。応募数だけでみれば国内最大級のコンテストになっています。

ぱ:じゃあ、いきなりだけどKさん、小説についておしえて!

K:けっこうざっくりな質問がきましたね(笑)
そうですね。先ほど言った通り、主に「小説家になろう」様に掲載されている小説とのかかわりは6年ほどになりますが、他の小説に関してはファンの域から出ていませんので、あくまで1コンテスト運営担当者の見解ということで……冒頭から予防線をはりまくってしまい申し訳ないんですが、その観点でのインタビューということで語らせてください。

ぽ:はい、よろしくお願いします。 

K:「小説家になろう」で流行する小説を「なろう小説」という一括りにすることは少々乱暴かなと思うのですが、わかりやすいようにまとめて しまうとすると、自分は「小説家になろう」の読者は、従来のライトノベルのメインターゲットとは少々異なった部分があると考えているんです。

ぱ:それはどういうこと?
K:もちろんライトノベルもWeb小説も両方読む方も相当数いらっしゃると思うんですが、俗に「中高生男子をターゲットにした小説」ともいわれてきたライトノベルと比較すると、「なろう小説」を読む方のほうが年齢・性別・立場ともに幅広いと考えています。
これはいってしまえば当たり前のことで、例えばテレビや漫画でも、少年向けもあれば青年向け、主婦向けも存在しているわけで、小説もエンターテイメントの一種と考えれば、年齢層や性別、立場やその時の社会的立場 で求めるものが変わってくることはあるわけです。

ぱ:ぱん太もたまに作家さんとお会いするけど、年齢も性別もけっこうバラバラだよ。

K:レーベルカラーといったものもあるので、商業的な部分が大きくなるとどうしてもジャンルが偏ってくる傾向があると思うんです。しかし、「小説家になろう」はWeb小説投稿サイトという特性上、そういった偏りが穏やかであり、結果として幅広い層が残っているのが今のWeb小説サイトの特徴だと思っています。

ぱ:よく「異世界転生・転移ばっかり」って聞くけど、そういうわけでもないのかな。

K:実際に小説家になろうにアクセスされている方であれば異世界転生ばかりではないということは御存じだと思います。「異世界・転生」ジャンルを望む方々が多く、その中の優れた作品にスポットライトがあたったことで周辺作品含めて目立っていることは事実ですし、そのため外部から見ると「異世界転生ものばかり」といった印象を受けるのでしょうが、実際に商業的な側面もあるネット小説大賞単独で見ても、異世界ものは決して大多数というわけではありません。もちろんジャンルごとに盛り上がっているところとそうでないところがあると思いますが、分野が広いことがWeb小説の最大の特徴であると考えています。

ぽ:たしかにジャンルだけ見ても、ファンタジーの他に恋愛・ミステリー・ホラーからTRPGまでいろいろありますね。

K:そうですね。商業的な観点を除いてしまえば読む人の多寡というのは大した問題ではなくて、本の流通が難しいようなジャンルでも自由に執筆でき、発表できるというのがWeb小説最大の魅力であり、多様性を持てている要因でもあります。
その中で実際に流行ジャンル以外でも優れた作品が生み出されることもあります。手前の話になりますが、第5回ネット小説大賞でグランプリをとったヒロロ先生の「妻を殺してもバレない確率」は、異世界でも転生でもハーレムでもチートでもありません。純粋に面白い恋愛小説です。
……新紀元社さんのインタビューで宝島社さんの作品の紹介をしてもよかったですかね?

ぱ:新人のパンダに聞かれても……(大丈夫でした)

K:誤解をしてほしくないのは「異世界・転生・ハーレム・チート」というジャンルは決して悪くない。むしろ読む人が確実にいるという意味では「反応がかえってきやすい」、著者にとってはモチベーションを保ちやすい、いいジャンルであると言えると思うんです。小説は書き手が読み手に一方的に提供するものと思われがちですが、Web小説では人と双方のキャッチボール的な観点も否定できないと考えています。ボールがかえってきやすいという一点をとっても、流行ジャンルが発展する理由にはなりますね。

ぽ:よく新紀元社にも「作家になりたい!」という人から問い合わせがくるのですが、Kさんはどうすれば作家になれると思いますか?

K:私は作家になれなくて就職した身分なので(笑)
外野から多くの作家の方を見てきたというその一点だけで、あくまでアドバイス形式でさせていただきますと、少なくとも作家を続けるためにはインプットの多さは重要だと思います。インプットが少ない状態で、数少ない自分の持ち物を出して書いた作品が受け入れられてデビュー、といったことはありますが、書き続けるための引き出しが少なくなってしまって飽きられてしまいがちです。

ぱ:なるほど。たくさんの作品に触れたほうが、多彩な小説を書けるってことだね!

K:はい。これはデビューするためにも同様のことが言えまして、読者が求めるものが刻々と変化している以上、結論なにが流行するかは「わからない」んですが、だからこそ特定のジャンルにこだわるにしても、複数の切り口で手を変え品を変えてアプローチできる状態になっておくことは重要だと思います。
よく「大ヒット作家も別シリーズが当たるとは限らない」といいますが、逆もしかりでして、仮にこれまで実力が有るにもかかわらず評価をされてこなかった方であっても、見せ方次第では大きく評価を受ける可能性があると考えています。


~後編につづく~
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