【インタビュー】小説家になろう総合ランキング1位!『無職転生 - 異世界行ったら本気だす -』理不尽な孫の手先生

『無職転生 - 異世界行ったら本気だす -』

34歳職歴無し住所不定無職童貞のニートは、ある日家を追い出され、人生を後悔している間にトラックに轢かれて死んでしまう。目覚めた時、彼は赤ん坊になっていた。どうやら異世界に転生したらしい。
彼は誓う、今度こそ本気だして後悔しない人生を送ると。


2017年現在、50万タイトル以上の作品が投稿されている「小説家になろう」。
読者は気に入った作品に評価やブックマークをすることができ、そうした評価の累計が「ポイント」としてユーザーに公開されています。

その総合ポイントランキングで、2013年10月から現在に至るまで堂々の第1位に輝きつづける作品『無職転生 - 異世界行ったら本気だす -』。
今回は、そんな『無職転生』の作者である理不尽な孫の手先生
に、創作についておうかがいしました!


パンタポルタ×理不尽な孫の手


――――本日はお忙しいところ時間をとっていただきまして、まことにありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします!

こちらこそ、このような場で発言する機会を与えていただきありがとうございます。

――――今回、ファンタジー情報サイトである「パンタポルタ」のインタビューということで、世界観構築についてうかがいたいと思います。
『無職転生』は太古の時代から設定が練り込まれていますよね。世界観づくりは、執筆前の段階でおこなわれていたのでしょうか?

執筆前段階だと「ざっくりと」という感じですね。
日本の歴史で言うと「戦国時代ではたくさんの武将が争っていて、そのうちの一人が天下統一の足がかりを作って、そこから色々あって天下が統一された」ぐらいのざっくり加減です。
で、「たくさんの武将」とか「そのうちの一人」とか「色々あって」の部分を執筆しながら詰めていった感じです。

――――実際に、六面世界を舞台に多くのスピンオフ作品を執筆されていますが、そちらの内容はいつ頃から構想していましたか?

作品によりますが、『ジョブレスオブリージュ』なんかは執筆中に構想したものです。
逆に『古龍の昔話』なんかは、『無職転生』を執筆する前から「なんとなくこんな感じの出来事があった」という構想がありました。もちろん構想だけなので、実際に書いてみたら案外思っていたのと内容が違ったりしたわけですが。
端的に言うと、100~1000年単位での歴史は執筆前から構想しておくけど、登場人物の細かい過去や未来、出来事に関しては、執筆しながら考えるという感じです。

――――理不尽な孫の手先生が小説を書き始めたのはいつ頃からでしょうか?
また、「小説家になろう」に投稿しようと思ったきっかけがありましたら教えてください。

本格的に小説を書き始めたのは10年前ぐらいですかね。
きっかけ、というには少し長くなりますが……。
小さい頃から読書は好きでしたし、ワープロで物語っぽいものを書いてみたり、パワーポイントで紙芝居を作ってみたり、RPGツクールを触ってみたりと、話を作ることも好きでした。
それで、ある時から小説を書き始めて、プロのラノベ作家を目指して、でも業界全体の風潮みたいなのが合わないと感じてやめて、それから何年かして「小説家になろう」を見つけて、そこには異世界転生とか転移とか、当時のラノベでは滅多に見ない、でも昔はいっぱいあって好きだったジャンルがたくさん存在してて、読んでいるうちに自分でも書いてみたくなって、また書き始めて、でも投稿するのは躊躇っていて、そんな中、かなり稚拙な作品でも、それなりに評価されていたり、読者がついていたりするのを見て、これなら私の作品も馬鹿にされること無く、読者と一緒にわいわい楽しくやっていけるんじゃないかな、と。
そんな感じで小説家になろうに投稿を始めました。

――――「小説家になろう」には感想機能もあるため、直接読者の声を聞くことも多くあると思います。連載をされてみて、読者と距離の近さを感じることはありましたか?

実を言うと、あまり近いと感じたことは無いです。
まぁ、投稿して5分もしないうちに感想がもらえて、その感想を元に30分もしないうちに修正版に差し替える、なんてことも出来るので、通常の商業出版から考えるとありえないほど近いんですが……。
でも、今はニコニコ生放送やyoutubeのライブ配信なんかも多いじゃないですか。あれらはゲームしてる人を同じ部屋で見てるような距離感でやってるので、それに比べるとWEB小説はまだ遠いですね。隣の家ぐらいの距離感です。
とはいえ、ライブ配信感覚で感想をくれる人もいて、そういう人の感想は「あ、こいつ近いな」と感じたりはします。
結局は相対的なものなのでしょうね。

――――世界観をつくる際に、何か参考にされた資料や影響を受けた作品などはありますか? (書籍に限らず、映画やゲームなどでも)

今まで見聞きしてきたすべてのことから……とかいい出すと話が終わっちゃいますね(笑)
世界観全体、という意味だと1980年台後半から2000年台前半ぐらいまでのファンタジー系のゲームから多大な影響を受けていると思います。(ドラクエ、FF、幻水、ロマサガ、魔装機神、聖剣伝説、闘神都市、ランス、ラグナロクオンライン、など)
ただ、細かい設定だと、当時の他なろう作品を参考にしているものが多いです。(異世界迷宮で奴隷ハーレムを作ろう、魔生、ヒール最高、など)
自分が昔から書きたいと思っていた世界に、当時読んでいて面白いと思った設定やらテンプレやらを乗っけていった感じです。

ーーーー実際にその年代のTVゲームの世界が共通認識になっている作品も「小説家になろう」では多い印象がありますね。今でもよくゲームはされているのですか?

もちろんやっています。
ただ、昔ほど時間のかかるゲームをじっくりやることは出来なくなったので、格闘ゲームとかFPSみたいに短時間でも区切りをつけられるものとか、メインストーリーが10時間ぐらいで終わるようなRPGをちょこちょこ触っているという感じですね。
……と言いつつも、ドラクエ11は何十時間も掛けてクリアしましたが。

――――「小説家になろう」1位もそうですし、累計発行部数も100万部をこえ、メディア展開も実施されるなど、今や作品は大きく広がっていますね!
こういった盛り上がりを感じられたのは、連載開始からどれくらい経ってからでしたか?

最初に大きな手応えを感じたのは、WEB版の6~7話ぐらいですね。
あのあたりでPV数がガツンと増えて、感想もたくさんもらえるようになったんですよ。
それがちょうど、主人公が前世のトラウマの一つを克服したタイミングだったので、「あ、やっぱりこういう方向性でいいのか」って確信めいたものを得て、その後もその方向性にあるものをきちんと丁寧に書いていったら、順当に盛り上がっていった、という印象です。
書籍の売上という点では、コミカライズの影響が大きかったと思います。
コミカライズは無職転生の面白さの芯をハズすことなく、丁寧に丁寧に描いてくださっているので、大きく発行部数を伸ばすことが出来たのかなと思います。

――――小説を書いていて辛いこと、楽しいことをそれぞれ教えてください。

初稿を書いている時は辛いです。
面白いと思って書き始めたのに、なんか面白くならないし、文章はぐだぐだで読みにくいし、思うようにいかないから楽しくもない。なんとか書き終わっても、また新たなゴミを生み出してしまったと陰鬱な気持ちになることもしばしばです。
でも、日を置いて読み直して、この話の面白さの核はどこだ? ここだ。ならここをこうすれば良くなるし、こういう構成に変えれば理解しやすいんじゃないか? って感じでどんどん改稿していくと、スッキリまとまり、思った通りの作品になっていくので、最高に楽しいです。

――――『無職転生』には、主人公のルーデウスをはじめシルフィエットやロキシーなど魅力的なキャラクターが登場しますが、孫の手先生のお気に入りのキャラクターとその理由を教えてください。

どのキャラも気に入ってはいるのですが、中でも特にとなると、やはりロキシーでしょう。
先程、大きな手応えを感じたのはWEB版の6~7話と言いましたが、それはちょうどロキシーがルーデウスを外に連れ出した時の話なんですよ。
彼女のおかげでルーデウスはトラウマを克服し、一つ成長した。
そうした話が多くの読者に温かい感想を抱かせ、作者である私にも「もっとこういう方向性で伸ばしていこう」と思わせてくれた。おかげで『無職転生』という作品は大きく飛躍し、今がある。
だから『無職転生』にとって神様みたいな存在ですね。ロキシーは。

――――本日はありがとうございました!
完結後の物語となる『蛇足篇』も最近まで連載していた本作。今後の展開を楽しみにしております。

ありがとうございました。
『蛇足編』は完結しましたが、六面世界の物語はまだまだ書いていくつもりです。
それは「無職転生や蛇足編の続き」という形にはならず、「同じ世界を舞台にした新しい物語」という感じになるかと思いますが、『無職転生』に負けず劣らず面白い作品にしたいと思っています。
なので、書き始めた際には、ぜひともよろしくお願いします!


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