復活祭にも深い関連? 大地の恵みとガーネット

ガーネット

赤い宝石として日本でも馴染みの深いガーネットですが、和名では石榴石(ざくろいし)と呼ばれています。これはガーネットが、柘榴の種子に似た赤色をしているためです。石榴の果実には、多くの種子が詰まっており、多産と豊作の象徴とされています。そのためガーネットにも、大地の恵みと関連の深い話が残されているのです。
『パワーストーン』(草野巧 著)では、アメシストやカーネリアンなど、様々なパワーストーンを紹介しています。今回はその中から、赤色の宝石ガーネットについてお話します。

目次

ガーネットと大地の恵み①-精霊ヴィーヴル

ヴィーヴルには地母神としての伝承もありますが、今回お話するのは、精霊としてのヴィーヴルです。こちらのヴィーヴルは、コウモリの翼、鷲の足、毒蛇の長い尾を持っており、額の裂け目にはガーネットが埋まっていたといわれています。

ヴィーヴルは額の裂け目で若い男を誘惑しました。このことは、ヴィーヴルが多産の象徴であることにもつながっています。
同時に額のガーネットも、さまざまな魔法の源になっていました。この魔法はヴィーヴルにだけ有効なものというわけではなく、人々にとっても、災いを防ぎ、幸運を呼ぶ力があったため、多くの人々の標的になってしまったのです。

追い回されることに煩わしさを感じたため、ヴィーヴルは財宝とともに洞窟の中に身を隠し、入り口の扉も閉じてしまいました。しかし、この扉が毎年復活祭前の日曜日には、自然と開いたといわれています。
復活祭はキリスト教の世界で最も重要な祝日だが、ヨーロッパに古くから伝わっていた豊穣を祈る祭りに始まったもので、春分の日を中心にした三月二十二日~四月二十五日の間に行われる。 『パワーストーン』p.198
この時期にヴィーヴルの洞窟の扉が開くのは、冬が終わり、実りの季節である春の始まりを意味しています。このような実りの伝承から、ガーネットは繁栄の象徴ともされています。

ガーネット2

ガーネットと大地の恵み②-冥界の女王ペルセポネ

ギリシア 神話にある冥界の女王ペルセポネの物語でも、柘榴の種子が重要な食べ物として登場します。

ペルセポネは大地母神デメテルと最高神ゼウスの娘です。両親の影響もあり、ペルセポネも地母神としての性格を持っていました。そんな彼女が冥界の女王と呼ばれるようになったのは、ゼウスの兄であり、冥界の王でもあるハデスが彼女を誘拐して、冥界に連れ去ってしまったためです。
行方不明となったペルセポネを探すため、デメテルは地上をさまよいました。そして女神ヘカテから、ペルセポネが誘拐されたこと、太陽神ヘリオスからは、冥界の王ハデスがゼウスと謀ってペルセポネを誘拐したことを聞き出します。そこでデメテルは、エレウシスの町の人々に神殿を築かせ、その中に閉じこもり、地母神としての仕事を放棄してしまったのです。

デメテルが閉じこもったことで、ギリシアの地には一切の穀物が実らなくなりました。これにはゼウスにも困り果て、神々の使いで死者の道案内役でもあるヘルメス神を、ハデスに送ります。そこでハデスも、一旦は承知する振りを見せました。しかしその後で、ペルセポネに冥界の石榴の実を一粒食べさせたのです。

冥界の食べ物を食べた者は、冥界の人間になるという決まりがあります。
この知らせを聞いたデメテルは、大地を不毛にする呪いを解かないと宣言しました。そこでゼウスが自ら説得に出向き、ペルセポネの処遇に関して新しい決まりをつくります。1年の3分の1をハデスとともに冥界で暮らし、残り3分の2をデメテルとともに地上で暮らす というものでした。

こうしてペルセポネは、地母神としての性格と冥界の女王としての性格を、同時に持つことになりました。地上の植物が枯れる冬には冥界にこもり、春と夏には地上に戻ることになったのです。
ガーネットには深い赤色を持つものもあり、この深い色合いを冥界の色だと考えると、ロマンを感じられるかもしれませんね。

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ガーネットと大地の恵み③-復活、受難の象徴

ギリシア神話に登場するペルセポネとデメテルですが、彼女たちはギリシア神話だけの神ではありません。古代ギリシア以前から、地中海地域でエレウシスの秘教が広く信仰されていました。ペルセポネとデメテルは、このエレウシスの秘教の主神でもあるのです。

エレウシスの秘教では、密儀の内容を部外者に漏らすことを強く禁じていました。そのため内容は明らかになっていません。ですが、死後の復活や死後の幸福などを保証するものだったと想像されています。また神秘学者たちによれば、石榴は小麦や芥子(けし)と同様に、エレウシスの密儀において、重要な象徴だったといわれています。

またキリスト教においても、石榴は受難と復活の象徴として、特別な意味合いを持っていました。『ヴィーナスの誕生』で知られるルネッサンス期に活躍したイタリアの画家ボッティチェリは、『バラ園の聖母』という絵を描いています。
これは聖母の腕に抱かれた幼子イエスを描いた絵だが、ここに描かれた聖母は右手に石榴の実を持ち、イエスがその実のひとつを口に運んでいるのである。 『パワーストーン』p.198
ガーネットには、生命力を高める力があるともされています。このような復活、受難のイメージがガーネットのこのような力へと繋がったのかもしれませんね。

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本書で紹介している明日使える知識

  • コーラル
  • アンモナイト
  • ネフライト
  • エメラルド
  • カーネリアン
  • etc... 

ライターからひとこと

パワーストーンには、それぞれの石にまつわるエピソードが残っています。ガーネットの場合は、その特有の深い色合いから石榴と結びつき、大地の恵みや復活の象徴とされています。
本書では、ガーネット以外にもアメシストやコーラリアンなど様々な石や、石にまつわるエピソードも紹介されています。