特殊部隊も男女同権の時代、隊員には女性もいるの?

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特殊部隊は軍務や治安維持を担当する組織の中でも、トップクラスのエリート集団です。部隊によっては、国内だけではなく国外での活動を基本としているところも多く、任務内容の難しさ、訓練の厳しさは言うまでもなく、特殊部隊に入隊することさえ難しいと言われています。 そのような特殊部隊に、女性も入隊することはできるのでしょうか。
『図解 特殊部隊』(大波篤司 著)では特殊部隊の規模や入隊に必要な資質なども紹介しています。今回はそんな特殊部隊の入隊に関して、女性でも入隊できるのかという素朴な疑問についてお話しします。

目次

特殊部隊の隊員になるために必要な資質 とは?

エリート集団である特殊部隊の隊員に必要な資質は大きく分けて、3つ あります。体力、知力、精神力です。このうち特に重要視されるのは、精神力です。

体力に関しては、標準を上回る能力が必要になります。任務はもちろんですが、訓練にさえついてこられないようでは特殊部隊でやっていくのは 難しいでしょう。知力にも同様のことが言えます。任務の内容が正確に理解できないようでは、当然任務を遂行することはできません。加えて特殊部隊では、数多くの装備を取り扱うことになります。これらの装備を有効に使用できるだけの知性は、特殊部隊に入隊するための最低条件と言えるでしょう。
なにも訓練や装備の取り扱いだけに体力、知力が必要なわけ ではありません。特殊部隊の任務では戦闘に巻き込まれることもあります。そのため素手での格闘術を修得しておけば、入隊には有利でしょう。同様に狙撃や爆発物の取り扱いなどに長けている場合も、選抜の際プラスに働きます。
個人の能力を求められるのは戦闘面だけではありません。特殊部隊の中には、海外での活動が多くなる部隊もあります。こういった部隊では、現地の人々と円滑な情報交換が必要になるため、外国語を話せることが大きな武器になります。部隊によっては特殊車両や船舶などの操縦技能が求められるケースもあるでしょう。

しかし、体力、知力やこれらの技能は、入隊時の選抜試験では有効であっても、選抜の決め手になるわけではありません。体力に関しては、入隊を希望する多くの者が既に水準を満たしていることが多く、知力や技能についても入隊後に向上、修得が見込めるためです。そのため、訓練では容易に鍛えることのできない精神力が、入隊時に最も重要な資質と言えます。
特殊部隊の選抜課程においては、選抜担当者たちは入隊希望者がこうした図太さを持っているかどうかを注意して観察している。 『図解 特殊部隊』p.14
逆に言えば、どんなに戦闘技術や各種技能に秀でていても、精神的に脆い人は特殊部隊に入隊できないということです。

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精神的に強い女性ならば、特殊部隊の隊員になれるのか?

特殊部隊に入隊するためには、強固な精神力が必要になります。この条件だけを見れば、軍隊の中でも非主流派な女性であっても適合する人はいるでしょう。しかし実際に女性が特殊部隊の隊員になるとすると、新たな問題が発生します。
まず風紀上の問題は無視できません。同性だけの空間に異性が入ることで人間関係が乱れ、任務に支障をきたす恐れがあります。また当然ですが、女性が隊員になるためには、寝る場所や風呂、トイレなど男女が別々に過ごすことのできる設備が必要とされます。

特殊部隊と言っても、所属する国家や組織によって、内実は多岐に渡ります。その中でも警察など治安維持を担当する組織の特殊部隊では元々女性職員が多いため、設備面の問題もクリアできます。事実、警察系特殊部隊であるSWATでは女性の隊員も珍しくありません。
また体力に関しても、軍隊系の特殊部隊ほど過酷な状況が続くことも少ないため、警察系の特殊部隊ならば、女性でも入隊しやすいと言えるでしょう。

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軍隊系特殊部隊にも女性は入隊できるのか?

設備的に男女を分けることが難しい軍隊系の特殊部隊では、女性の入隊は難しいと考えられていました。そんな女性入隊問題の情勢が変わってきたのは、2003年に中東で発生したイラク戦争です。
イラクではイスラム教を信仰している人の割合が多く、男性のみの特殊部隊では地元住民の十分な信頼を得られませんでした。
地方の集落では女性と子供の人口比率が高く、民心獲得工作に派遣された特殊部隊の男性兵士がイスラム女性に接触することが宗教的なタブーに触れ、地元住民の抵抗や反発を招く結果となった 『図解 特殊部隊』p.16
加えてテロリスト達も女装したり、女性ものの服で武器などを隠して運び屋にしたりしたため、事態が深刻化します。
そこでアメリカ軍は女性による支援部隊を結成しました。この部隊は「Cultural Support Teams(CST)」と命名され、女性へのボディチェックなどを担当しました。これによって女性のみならず、男性からの警戒も和らげることになったと言われています。
しかし、今でも女性厳禁としている分野も存在しています。戦車兵や潜水艦乗りなどです。これらの分野ではどうしても密閉空間が生まれてしまうため、男性だらけの空間に女性を入れるわけにはいかないというのが理由です。

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本書で紹介している明日使える知識

  • 部隊の規模はどれくらい?
  • 特殊部隊をやめる理由は?
  • 民間軍事会社とはどんな組織?
  • 特殊部隊は装備も特殊?
  • 特殊部隊は雑草でも食べる?
  • etc... 

ライターからひとこと

様々な状況に置かれる特殊部隊では、隊員にも様々な能力、技能が要求されます。単純な戦闘能力だけではなく、極限状態に長時間耐えられる精神力や、地元住民の協力を得るための外見や交渉力が必要になることもあるでしょう。それらの中には、男性よりも女性が秀でている能力や技能もあるはずです。男性か? 女性か? ではなく、 性別にとらわれない考え方をしなければ、十分な対応が出来ない時代になったという見方もできるかもしれません。
本書では、特殊部隊の隊員の性別問題だけでなく、特殊部隊の隊員に必要な資質、特殊部隊の隊員をやめなければならなくなる理由など、特殊部隊について、様々な角度から紹介されています。