夢占いにクリニックの語源? 現代に繋がる「夢」と「魔術」!


いつの時代も占いが大好きな女性は多いものです。タロット占いや星座占いも人気ですが、夢占いもポピュラーですよね。今回は 『図解 魔術の歴史』(草野巧 著)より、「」と「魔術」が現代にどう関わっているのかをご紹介します。

目次

魔術書とともに流行した伝説の夢占い?『夢判断の書』

たとえば何かに追いかけられるや溺れる夢など、強烈に印象に残るようなを見たときは、どんな意味があるのかと調べる方もいるかと思います。それほど夢占いというものは、現代でもポピュラーなコンテンツです。

こちらの記事でもご紹介しましたが、占いは、シャーマニズムの文化として古くからありました。そして夢占いもまた、古くから存在したのです。

夢占いの歴史の中でも、とても大きな影響力を持ったのが『夢判断の書』でしょう。
この書は古代ギリシアで発表されるとたちまち有名になりました。さらには後代にも大きな影響を与え、ルネサンス時代には多くの魔術書にまじって出版され、ベストセラーになりました。
紀元前140年、アルテミドロスという職業占い師がいました。この人こそ『夢判断の書』の作者です。アルテミドロスによれば、の多くは映像によって未来の出来事を表し、ほかのは象徴によって未来を示すといいます。

ただし、判断には注意点があります。
は、見た人の社会的地位や精神状態などによって、解釈が異なるのです。たとえば、もしも老人が胸に傷を受けた夢を見れば、つらい知らせが届きますが、若い女子が同じを見た場合は、素敵な恋人が手に入る可能性があります。
このように、同じ内容のでも意味が異なるので、判断には細心の注意が必要なのです。 アルテミドロスについては、詳しいことはわかっていません。エーゲ海東岸のエペソスの出身で、息子も夢判断を職業としていたことは確かです。全5巻からなる『夢判断の書』も、息子に向けた解説となっています。

『夢判断の書』の中身ですが、はじめに「夢と睡眠中の幻覚の区別」、「直接的なと象徴的な夢」など、の一般的理論が記されています。
その後、主題別分析として、「誕生」「妊娠」「性交」「変身」「戦争」「飛行」「死んだ人に会う」など、約200項目にわたり、とその結果に関する事例集が収められています。

現代でも夢占いの辞書など販売されていますが、『夢判断の書』は元祖といえるのかもしれませんね。

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夢で病気を癒やす「アスクレピオス」の魔術

夢占いのほかにも、古代ではなんと、で病気を治す神の存在が有名でした。
紀元前5~後3世紀頃、パレスチナではイエス・キリストが活躍していました。イエス・キリストといえば、病気を治した奇跡が有名です。
しかし、そのパレスチナ以外の地域でイエスを凌ぐほど有名だったのが、古代ギリシアの神・アスクレピオスです。

アスクレピオスは、偉大な病気治しの神として、地中海世界では最も広く信仰されました。聖地とされる場所は地中海世界に数多く存在していましたが、最大の聖地といわれたのは、ギリシアのアルゴリス地方にあった、エピダウロスという場所でした。
アスクレピオスの癒やしには、ある決まりがあります。
それは、聖地エピタウロスにある「アスクレピオス神殿」の北側にあった細長い列柱館で「を見る」ということです。
この列柱館はイオニア式で、名称は「アバトン」と呼ばれました。 アバトンということばは、「呼ばれない者は立ち入ることができない場所」という意味があったといいます。 その名のとおり、アバトンにいきなり出向いても癒やしは起こらないのです。

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クリニックの語源! 夢で魔術に癒やされるには?

では、どのような順序でアスクレピオスの癒しを受けることができるのでしょうか。

まず、病気を治したい人は聖地を訪ねます。そこで、保護施設に宿泊し、運動をしたり観劇などをして過ごします。
すると、ある日突然、「アバトン」に入るようにと神からのお告げがやってきます。アバトンに入ることが許された病人は、まず浄化の儀式と沐浴を行い、それからアバトンの内部に入ります。

夜になると、「クリネー」という寝椅子で眠り、そしてアスクレピオスがに登場します。夢に登場するアスクレピオスは、彼自身の姿の場合もありましたが、多くは犬やヘビの姿をしていることが多かったといいます。犬やヘビは彼の象徴だったのです。そしてアスクレピオスは、助手を連れていたことも多かったようです。彼は患者の患部に触れて、そして姿を消します。
すると、たったそれだけで、その人は癒やされたというのです。
このときに寝る「クリネー」という寝椅子ですが、実はこれが現在の「クリニック」の語源です。

昔は「アバトン」という診察室に入るために、医者や看護士ではなく、神のお告げによって呼ばれていたと考えると、面白いですね。
以上、魔術と現代の深い関係についてご紹介しました。


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ライターからひとこと

いまや日本中で見ない方が難しいと思われる「クリニック」ということばが、まさかこんなところからやってきたとはびっくりです。 本書には他にも魔術についてさまざまな情報が掲載されています。
◎参考ページも公開中!
【タダ読み】夢で病気を治療する-『図解 魔術の歴史』