錬金術の叡智で世界を啓蒙する! 秘密結社「薔薇十字団」

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17世紀ヨーロッパ初頭、とある秘密結社が世間を賑わせました。
それこそが「薔薇十字団」――彼らの存在は謎に包まれ、都市伝説かのように囁かれましたが……。
今回は『図解 魔術の歴史』(草野巧 著)より、この伝説の秘密結社についてご紹介しましょう。

目次

都市伝説?「薔薇十字団」とは何なのか

薔薇十字団」とは、17世紀のヨーロッパで爆発的に流行した秘密結社です。
薔薇十字団の目的は、錬金術的方法による「人間の完成」、「世界の変革と完成」、そして「世界の普遍的知識の探求」でした。
彼らは古代の叡智を守り伝えつつ、人類を正しい方向に導くために密かに活動し、歴史の流れを影で動かしているといわれています。

伝説によれば、薔薇十字団は、ドイツで生まれたクリスチャン・ローゼンクロイツ(1378~1484)によって設立されたといわれています。
その存在が明らかになり注目を集めたのは、17世紀初頭のドイツで、結社に関する一連の文書が発表されたことからでした。

薔薇十字団に関する文書】
・『全世界の普遍的改革』(1614年刊行)
・『薔薇十字団の伝説』(『全世界の普遍的改革』付録)
・『薔薇十字団の告白』(1615年)
・『化学の結婚』(1616年刊行) 

当時、多くの人々が薔薇十字団の思想に共鳴し、また自分も団員になりたいと表明しました。
しかしこの団体がどこにあるのか、誰が団員なのかなどはまったく知られておらず、現代に至るまで、実態のない都市伝説のひとつとして語り継がれています。

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薔薇十字団の根底にある錬金術と、その後の影響

薔薇十字団は、「カバラ」や伝説の錬金術師「パラケルスス」の影響を受けています。
彼らには「神は錬金術によって天地を創造した」という考えがあります。
そのために、錬金術を究めることは、宇宙の神秘を究めること、そして世界について「完全にして普遍的な知識」を得ること……そう考えていたのです。

一般的には、錬金術とはその名のとおり、黄金を生み出すことを目的にします。
しかし薔薇十字団の錬金術は、黄金変成よりも、人間の精神的な完成を重視していました。
そして錬金術による人間の変革を世界にまで広げ、世界の普遍的な変革を目指していたのです。

この、世界の啓蒙と変革を目指す秘密結社という発想は、その後に誕生した秘密結社「フリーメーソン」に影響を与えました。 フリーメーソンでは、その位階のひとつに薔薇十字団が加えられ、内部でも薔薇十字団を名乗る団体が数多く結成されています。
さらには、近代魔術集団の代表格「黄金の夜明け団」にも影響を与えました。

そして、薔薇十字団の設立者とされるクリスチャン・ローゼンクロイツもまた、錬金術師でした。

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薔薇十字団設立者、ローゼンクロイツとは何者か?

では、クリスチャン・ローゼンクロイツとは、いったい何者なのでしょうか?
その生涯は、17世紀初頭に出版された薔薇十字団の基本文書『薔薇十字団の伝説』と、『化学の結婚』の中で語られています。

ローゼンクロイツは、1378年、ドイツのブロッケン山近くの没落貴族の家に生まれました。
5歳で修道院に入った彼は、ギリシア語やドイツ語を学びます。

16歳になるとエルサレム巡礼の旅に出ましたが、その途中でアラビアの賢者たちが様々な奇跡を行うという話を聞き、興味を持った彼はイエメンのダムカルを訪れます。

ダムカルの賢者たちは、「長い間待ち望んでいた人が来た」と言い、ローゼンクロイツを手厚く歓迎したといわれています。
ローゼンクロイツはここで3年をかけて、アラビア語、物理、数学などを学びました。
その後、モロッコのフェズを訪れ、2年間、賢者たちから秘密の知識を学びました。

ドイツに帰ったローゼンクロイツは、7人の同志とともに聖霊の家を建て、教団を結成します。
これが「薔薇十字団」です。
教団の目的は、西欧キリスト教と錬金術・魔術から生まれた、普遍的原理による世界の変革でした。

さて、ここでもう一度、ローゼンクロイツの生没年を見なおしてみましょう。
彼は1378年に生まれ、1484年に亡くなったとされています。
つまり106歳で亡くなっているのです。 ずいぶんと長生きだと思いませんか。

ローゼンクロイツがいつ死んだのか、そしてどこに埋葬されたかは秘密にされました。
しかし1606年のある日、第3世代の教団員が聖霊の家を改修しているときに、隠し扉を見つけます。

「わたしは120年後に発見されるだろう」 

そう書かれた扉の向こうは地下埋葬所で、ローゼンクロイツの遺体が無傷のまま安置されていたのです。
そのため、彼は1486年に、106歳で死んだとされています。
またそこには羊皮紙の巻物もあり、彼が天界と人間界の秘術を究めたことも書かれていました。
この巻物により、ローゼンクロイツの偉大な業績が判明したといわれています。

以上、「薔薇十字団」と、ローゼンクロイツについて簡単にご紹介しました。

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ライターからひとこと

未だ謎多き薔薇十字団ですが、現在でもその名を冠した団体は数多くあります。 たとえば、「薔薇十字の同志会」、「古代神秘薔薇十字教団」、オランダの「薔薇十字教会」など、1900年代以降に新たに結成された団体もあります。しかもこれらの団体は現在も活動中なのです。
いったい彼らはどんな世界の叡智を知っているのでしょうか。まずは完全にシワやお肌のくすみなどを消し去る叡智などから共有していただきたいものです。世界を創造した錬金術なら、きっとできると信じています。