首飾りやブローチ ケルトの人々を飾った装飾品とその歴史

装飾品_ケルト

トルクという首飾りをご存知ですか? ケルトの人々が身につけていたもので、様々なデザインがあり、とても美しい装飾品です。
『図解 装飾品』(池上良太 著)では、古今東西の様々な装飾品について、地域と時代ごとに図解入りで解説しています。今回はその中から、トルクをはじめとするケルト装飾品とそのデザインの歴史についてご紹介します。

目次

トルクやフィブラ ケルト人が身につけていた装飾品

ケルト人とは、紀元前6世紀頃からヨーロッパ各地に姿を現すようになった先住民族です。彼らは暮らしの中で多数の装飾品を用いていました。その中で代表的なものを3種類ご紹介しましょう。

・トルク(首輪、首飾り)
トルクは神の力や権力の象徴とされた首飾りです。主に金や青銅などの金属でできており、アルファベットのC字型をしているものが多いですが、中には完全な円形のものなど、凝った作りのものも存在しています。金属をねじって作られることもあり、その独特な形状がトルクという名前の由来にもなっています。

・フィブラ(弓形のブローチ)
フィブラは弓のような形をしたブローチで、衣服を留めておくために使われました。主に金メッキを施した青銅でできていて、珊瑚や琥珀などの宝石類の象眼(細工)や七宝細工を施したものもあります。フィブラは地中海一帯でひろく使われていましたが、ケルト人が使っていたものが広まったのではないかという説があるそうです。

・ルヌエラ
ルヌエラは半月形の金属板に装飾を施したもので、首や胸、頭を飾るための装飾品と考えられていますが、具体的な使われ方ははっきりわかっていません。

これらの装飾品以外にも、琥珀やトンボ玉、色ガラスのビーズを使った首飾り、青銅製の足輪、金属や色ガラスで作られた腕輪など、ケルトの人々は様々な装飾品を身につけていました。女性だけでなく男性も装飾品を身に纏っており、特に男性戦士は裸体や派手な衣服にトルクなどを着け、戦場に赴いたとされています。

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時代によってデザイン様々 ケルトの装飾品の歴史

私たちが普段身につけるような装飾品は、模様のないシンプルな金属製のものもあれば、植物や動物の模様が施されたもの、幾何学模様になっているものなど、デザインも様々です。
では、ケルト人たちが身につけていた装飾品はどのようなデザインだったのでしょうか?

ケルト装飾品は、時代によってデザインがかなり異なっています。
初期の様式はハルシュタット様式とよばれていて、金や青銅を中心とした簡素なつくりと単純な幾何学模様が特徴です。

その後時代が下るにつれ、ケルトの美術様式は周囲の他の文明・文化の影響を受け発展していきます。
ラ・テーヌ初期様式は、ハルシュタット様式に、エトルリアなど地中海文明のモチーフや技術が取り入れられ成立した美術様式です。
エトルリアの技術が取り入れられたことで金属加工技術が発展し、金や青銅の他に珊瑚や七宝細工が用いられるようになりました。また中東風の動物や架空の動植物、人物などがモチーフになっていることも特徴です。さらに古代ギリシアとの交流がはじまると、ギリシア風の唐草模様も取り入れられるようになりました。

ケルトの美術が最盛期を迎えたのは、ラ・テーヌ中期様式の時代です。この頃になると、動植物や人間といったモチーフを極端にディフォルメし、螺旋や曲線と融合させたケルト独自のモチーフが考案されるようになりました。
素材には、金や青銅、珊瑚などの他、金メッキを施した青銅、色ガラス、琥珀なども使用されるようになります。細工の技術も発達し、粒金細工(りゅうきんざいく)や細線細工(さいせんさいく)を疑似的に再現したもの、鋳造製品なども登場しました。

ケルト装飾品はこのように華麗な発展を遂げましたが、その後古代ローマの影響を受けるようになると、中央ヨーロッパでは紀元前1世紀頃から次第に衰退していきます。
しかし、北ヨーロッパやブリテン(イギリス)では独自の様式として7世紀頃まで続いていくのです。

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ライターからひとこと

2017年春にも、英国で古代ケルト人が身につけていた金のトルクや腕輪が見つかったというニュースが報道されました。金でできた装飾品は、当時のケルト人たちの身体を美しく飾っていたことでしょう。 本書ではこうした装飾品をイラスト入りで解説していますので、イメージも沸きやすく、創作のヒントにもなると思いますよ。

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【タダ読み】繰り返す螺旋と曲線・ケルトの装飾品-『図解 装飾品』