神の領域に足を踏み入れた禁断の創造・人造人間ホムンクルス

ホムンクルス

ホムンクルスは、人間が神に近づこうとして産まれた人造人間です。
生命を生み出すことは、神のみが許される行為とされていた時代でしたが、錬金術師達は、生命の創造について強く関心を持っていました。
果たして、私たち人間は神に近づくことが出来たのでしょうか。また、人の手で作られた人間とはどのようなものだったのでしょうか。
今回は、『幻想世界の住人たち』(健部伸明/怪兵隊 著)を参考に、母のお腹からではなく、錬金術師の手によって産まれた人造人間をご紹介します。

目次

錬金術師パラケルススが教えるホムンクルスの作り方

ホムンクルスは、錬金術で産まれてきた人造人間のことをさします。
ラテン語で「小さい人」という意味で、男女の間から産まれた赤子よりも小柄なため、こう呼ばれていました。
また、錬金術において「純粋な理性の産物」という意味もあります。 フラスコなどの蒸留器の中で作り出され、生涯をそこで過ごします。聡明な錬金術師から作られたため、全ての技術を持って生まれてくるともいわれていました。
それでは、錬金術師は男女の間を介してではなく、どのようにして人間を生み出したのでしょうか。

ホムンクルスの作り方は、ドイツの錬金術師パラケルススが記録しています。 パラケルススは、「女性の肉体の外部でひとりの人間が誕生することが可能である」として、その生成方法を書いています。
まず、男子の精液を蒸留器の中に入れて40日間密閉しておきます。すると、精液が腐敗して動き始め、人の形をした透明でほとんど実体のない物体を見ることができるようになります。
これに毎日人間の血液を与え、注意深く養い、40週間のあいだ、馬の胎内の温度に保っておくと、四肢のそろった子供が生まれてくる、というのです。

また、他の方法で造った話も記録が残っています。
極めて美しい男女が、ふたり揃って一度に誕生するとホムンクルスが生成される方法です。しかし、このホムンクルスは6年間しか生きることができませんでした。

多くの錬金術師がホムンクルスを作ることに挑戦しましたが、成功したのは、この記録を残したパラケルススだけだといわれています。

錬金術師から生を授かった技術の申し子ホムンクルス

ホムンクルスは、その名のとおり小人ですが、成長して成年に達すると、巨人になる場合があります。 慎重に育てさえすれば、多くの知識を得ることができるとさえいわれています。 また、錬金術師の技術によって生命や肉体を作られたため、生まれながらに技術を身につけていて、誰からも教わる必要がありませんでした。 著者はホムンクルスを、技術の申し子と言うべきでしょう、と述べています。

しかし、そんなホムンクルスも、蒸留器のガラスの中でしか生きていられず、外へ出すことが出来ないという説もあります。
ゲーテの『ファウスト』の中でホムンクルスは、 「万物についてその属性を申しますと、自然のものには無限の大宇宙さえ狭すぎるほどですが、人口のものには必ず固定した空間が必要なのです(大山定一訳)。」 とその理由を述べています。 『幻想世界の住人たち』p.112
フラスコの中の命、全ての技術を知る肉体。まるでファンタジー世界のキャラクターそのものを思わせるようなホムンクルスは、錬金術師達が、命を作り出すという禁忌を破って産み落としたであろう生命なのです。

ホムンクルス2
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ライターからひとこと

ホムンクルスの存在、そして人が人を造り出す行為はまるでファンタジー世界のようですが、実際に錬金術師達が挑戦し、そしてその記録が残っているのが驚きです。
錬金術師達の創造は、私たちに物事に関心を持ち、挑戦できる技術があることを改めて教えてくれますね。
皆さんも錬金術師達を見習って様々なことにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。 もちろん、怒られない程度に。