【怖い話】ぼくのおさななじみ


パンタポルタ、夏のホラー企画
今回はフィーカスさんからの投稿をご紹介します!
文章ならではの、ぞっとするようなこわ~い話……あなたの近くにも、こんな子いませんか?



 ぼくにはミナちゃんっていう、三歳くらいの時からのおさななじみがいる。いつも大人しくしていて、保育園の時は一人で遊ぶことが多いような子なんだけど、かわいらしくて笑顔が素敵な子なんだ。
 ミナちゃんにはちょっと変わったところがあるんだ。他の子には見えないものが見えているみたいで、いつも誰もいないところに「こんにちは」とか、「今日はあついね」とか、そんなことを言ってる。だからかな、特に幼稚園までは、気持ち悪がって近づかない子も多かったんだ。
 そんなミナちゃんだけど、ぼくは話している相手に興味があった。だから、「誰と話してるの?」「誰かいるの?」と、ミナちゃんに声を掛けたんだ。それがきっかけで、仲良くなって、いつも遊ぶようになった。
 小学生になった頃から、ミナちゃんにも少しずつ友達もでき始めた。その分遊ぶことが少なくなったけど、友達と遊んでいるミナちゃんはとても楽しそう。
 でも、やっぱり普通の人には見えないようなものが見えているみたいで、友達も「そういうのはやめてよ」って怖がってた。だから、あまり友達の前では、そういうのが見えても言わないようにしているんだって。
 ぼくは平気だよ。だって、普通の人が見えないものが見えるって、すごいことだから。ぼくも、見えないものが見えるのがうらやましいって、いつもミナちゃんと遊ぶ時はずっと言ってたんだ。
 ミナちゃんの家とぼくの家はちょっと離れていたから、遊ぶのはいつも近くの公園。でも、やっぱり見えないものが見えているからかな、周りの大人たちは、よくミナちゃんを見ては、ひそひそと何か言っているみたい。大人って、こういうところがあるから嫌い。

「トモキくんは、他の人が見えないものが見えたりすること、ある?」
 公園で一緒に遊んでいる時、ミナちゃんがぼくに聞いたことがあった。
「ううん、多分、ぼくが見えているのは、みんなが見えているものと一緒。ぼくも、ミナちゃんが見ているもの、見たいな」
「あのね、今はねこさんとか、わんちゃんとかがいっぱいいるよ。でも、他の人には見えないみたいで、ねこさんを平気でふんづけたりするんだ。あと、おじいちゃんとおばあちゃんが、あそこで座ってるんだ!」
 ミナちゃんはそういうと、誰もいない公園のベンチを指さした。ミナちゃんのおじいちゃんとおばあちゃんは、ミナちゃんが幼稚園の時に死んじゃったらしい。でも、ミナちゃんにはおじいちゃんもおばあちゃんも見えるから、寂しくないんだって。
「トモキくんも、いつか見えるようになるよ。あ、トモキくんのおじいちゃんとおばあちゃん、まだ生きてるんだっけ。もし死んじゃっても、一緒にいられたら寂しくないよね」
 おじいちゃんとおばあちゃんが死んだ時、ミナちゃんは毎日泣いている時があった。そのたびに、ぼくがなぐさめてあげていたんだ。でも、おじいちゃんとおばあちゃんが見えるようになって、泣くことが少なくなった。ぼくも、やっぱりおじいちゃんやおばあちゃん、おとうさんやおかあさんが死んだら、ミナちゃんみたいに泣き虫になるのかな。

 小学三年生になったミナちゃんは、女の子の友達と帰ることが多い。ぼくの家とは違う方向だから、一緒に帰ることはないんだ。でも、今日はミナちゃんが友達とどんな話をしているのか気になって、後を追ってみたんだ。
「……でね、おじいちゃんはいつもその時、おみやげを買ってきてくれるんだ」
「ミナちゃんって、おじいちゃんのこと好きだよね」
「うん、おとといも、トモキくんと遊んでいたら、おじいちゃんが見に来てくれて……」
 ミナちゃんがしゃべっていると、途中で女の子の友達の足が止まっちゃった。

「ミナちゃん、いい加減にしてよ。トモキ君は、一年生の時にもう死んじゃったでしょ?」

 ぼくは小学一年生の遠足の時、間違ってみんなと違う道に行ってしまって、途中で崖から落ちて死んじゃったんだ。
 その時はみんなたくさん泣いていたけど、ミナちゃんが一番泣いていたかな。でも、ミナちゃんはぼくのことが見えるのを知って、いつも遊んでくれてたんだ。

 ぼくにはミナちゃんっていう、三歳くらいの時からのおさななじみがいる。いつも大人しくしていて、保育園の時は一人で遊ぶことが多いような子なんだけど、かわいらしくて笑顔が素敵な子なんだ。
 普通の人には見えないものが見えるらしいんだけど、そのおかげで、ぼくはミナちゃんとずっと遊ぶことができる。
 もし死んじゃっても、一緒にいられたら寂しくないよね。

 だから、これからも、ずっと一緒に遊ぼうね、ミナちゃん……


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