【怖い話】呪われた家


【パンタポルタ・ホラー企画】
これは匿名Pさんから寄せられた、幽霊ハウスの話です。
穢れた土地……こんな家には住みたくない!




私が大学生の頃のお話です。
その頃私は、友達と二人でルームシェアをしていました。
駅から遠く離れた、閑静な住宅街に建つ小さなアパート。
畑以外に何もない場所でしたが、駅と反対方面へ歩いていけば、有名な神霊スポットへ行くことができました。かつて多くの人がバイク事故で亡くなったため、現在は立ち入ることのできなくなった峠です。
家賃の安さに惹かれて引っ越したものの、「不気味な地域」という印象は最初から強くありました。


引っ越してから、半年ほど経ったある日のことです。

「またトイレの電気つけっぱなしだよ」

苛立ちながら電気のスイッチを消す友達を見て、ぎょっとしました。
というのも、私も同じ状況に出くわしていて、いつも友達が消し忘れているのだろうと思っていたからです。
お互い「自分じゃない」の平行線で、とりあえず、しばらくお互い気を付けようということで落ち着きました。

けれど、確かにトイレを出たあと電気を消しているのに、気が付くといつの間にか、ドアの隙間から明かりが漏れている……そんなことが頻発しました。
最初は友達がからかっているのだろうと思っていましたが、ある日の夜、誰も廊下へ出ていないはずなのに、ぱっとトイレの明かりが付くのを目撃してから、私は初めて「何か変だ」と考えはじめました。

それから間もなくして、今度はトイレのカギがひとりでに閉まるようになりました。
二人とも部屋にいるにもかかわらず、気が付くと内側からカギがかけられているのです。
トイレのドアの隙間に定規を差し、こじ開けて入るのが習慣になりました。

その頃から、部屋にいてもおかしなことが起こるようになっていきます。
押し入れの中から激しい物音がしたり、リモコンが離れた場所にあるのにテレビが勝手に付いたり、一人の時シャワーから上がると台所の棚という棚の扉が開いていたり。
毎日のように何かが起こるので、学校の友達にも「今日は何があったの?」と聞かれるほどになりました。

その時までは、まだ、この状況を楽しんでいたのだと思います。
ところが、本当の悪夢はここからでした……。

私は、よく悪夢を見るようになりました。女の人が耳元で何かを囁く夢です。
起きているときでさえ、シャワー室や玄関の暗がりやカーテンの裏に、女の人の影が見えるようでした。
頻繁に起こる怪奇現象のせいで、気がおかしくなっているのだと感じました。家に一人でいることができなくなり、外で過ごすことが増えました。
夜もあまり眠ることができず、体調を崩すことが多くなり、気がつくと私は慢性的な病をいくつも抱え、一週間に一度は病院へ通う日々を送るようになっていたのです。
周囲から「早く引っ越したほうがいい」と言われて、ようやく家から出る決意をしました。

さて、引っ越す数日前のことです。
アパートへ帰ってくると、玄関の前にスーツを着た男性が二人立っていて、私が家に入ろうとすると声を掛けてきました。

「ここの管理会社の者ですが、隣の人のことはご存知ですか? いつ帰ってくるとか」

とっさのことで、私は「わかりません」と答えました。
本当のことを言えば、いつも夜になると、隣から男女の怒鳴り声が聞こえていたので、カップルが住んでいることは知っていました。

次の日の朝、外へ出ると隣の家のドアに張り紙が貼ってありました。
そこには「家賃未払いで、連絡も取れないので退去してほしい」という旨が書かれていたので、おおよそ夜逃げでもしたのだろうと考えました。

それから一週間ほど経った、引っ越しの日。
私はお母さんに手伝ってもらいながら、家の外に段ボールを運びだしていました。
すると、隣の家の中にぞろぞろと人が入っていくのが見えて、ぼんやり「なんだろう、あれ」とつぶやきました。

スーツを着た男性が二人と、明らかにお坊さんといういで立ちをした老人が二人。
何も知らないお母さんが、あっけらかんと言いました。

「ああ、お祓よ。あれは」

その言葉を聞いたときほど、ぞっとしたことはありません。

その後、無事に引っ越しを終えた私には、隣の家で何があったのかも、どうしてあんな現象が起こっていたのかも……なにも分からないままです。