あなたの不幸は悪魔のせいかも? 悪魔の仕事とは

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悪魔祓いを題材にした作品は数多くあります。つまり人間とって悪魔は、祓われるべき存在として考えられているようです。
このように、悪を象徴する存在として描かれることの多い悪魔ですが、彼らはなぜ悪さをするのでしょうか。また、人間の前に姿を見せていないときはどんな暮らしをしているのでしょう。
『図解 悪魔学』(草野巧 著)では、歴史を繙くことで見えてくるリアルな悪魔の姿を紹介しています。
今回はその中から「悪魔の私生活」をキーワードに、彼らの住処や仕事についてお話します。

目次

実はモフラー? こぞって動物の姿をした悪魔たち

悪魔は必ずしも恐ろしい姿で人々の前に現れたわけではありません。ある時は子供の姿をしていたり、またある時は人形の姿をしていたりと、さまざまな姿をしています。
悪魔はどんな姿にもなれるが、悪魔が好んで身にまとう姿にはある傾向があった。古くから悪魔が好んでいたのは動物の姿である。『聖アントニウス伝』(4世紀)にあるように、悪魔はライオン、熊、豹、牡牛、蛇、サソリ、狼などの姿でよく出現した。 『図解 悪魔学』p.92
頭は山羊で体は人間の姿をした悪魔をご存じでしょうか。これは19世紀の隠秘学者エリファス・レヴィの描いたバフォメットの絵が影響していると考えられています。
しかし、もとをたどればこのバフォメットも、ギリシア神パンをモチーフに描かれたもの。森の神であったパンは好色かつ放埓な性格であったため、混沌を代表する悪魔の姿にふさわしかったのです。
また、黒い人間の姿をしていることもあった。悪魔は完全に人間の姿を真似ることができず、真似し切れなかった部分にはもう一つの顔がついているといわれた。だから、尻とか膝とかにもう一つの顔を持つ悪魔がいるのである。『図解 悪魔学』p.92
日本においても、できものが人の顔のようになる人面瘡という奇病があり、しばしば妖怪として登場します。この悪魔のモチーフも同じ病気がもとになっているのかもしれませんね。

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あなたの隣にもいる? 身近に潜む悪魔

悪魔は普段どこを棲家にしているのでしょうか。
キリスト教における悪魔は皆、天から落とされた存在であるため、天にはいないはずです。では空中をさまよっているのでしょうか。あるいは地上を通り越して、地下深い地獄まで落とされてしまったのでしょうか。

①囚人なのか番人なのか。地獄に住む悪魔
キリスト教では、地獄には悪魔がいて罪人を罰していると考えられていました。このような苦しみを神が与えるはずがないから、悪魔のせいだというのです。
しかしそうすると、地獄において悪魔は囚人なのか、あるいは番人として働いているのかという疑問がでてきます。
悪魔は地獄に囚われて苦しみながら、同時に罪人たちを苦しめる働きもしているのだ。しかも、悪魔は自由に地獄を出て、空中をさまようこともできた。『図解 悪魔学』p.92
悪魔は囚人であり、番人でもありました。空中に出てきた悪魔は、亡くなった人の魂の邪魔をしたり 地上にいる人々に害を与えたり、さまざまな悪行をしたのです。

②この世の終わりまで人間を苦しめる悪魔
一説によると、悪魔が地獄に落ちるのはこの世が終わるときであり、それまでは人間に害を与え続けるといいます。天から落とされたためにかつてのように猛威を振るうことはできなくなったが、完全に打倒されたわけではないため、現在も空中をさまよっているのです。

③空気中にびっしり! 悪魔で埋め尽くされた世界
13世紀、ドイツのある司祭はデーモンはどこにでもいる、濃密な大気のように人間を取り囲んでおり、少しも隙間がない、とさえいっている。『図解 悪魔学』p.92
にわかには信じがたい説ですが、悪魔が目に見えない物質でできているとするなら、否定はできません。悪魔の体が何でできているかという議論にはまだ決着がついていませんが、霊的な存在であることは間違いないようです。空気中には蠅のようにデーモンが群がっているため、天から地上へ針を落とせば必ずデーモンに当たるとさえ言われました。

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実はとっても働き者? 増え続ける悪魔の仕事 

上記で紹介した地獄の番人という仕事のほかにも、実は悪魔はたくさんの仕事をしているのです。
悪魔が盛んに活躍し始めたばかりのころ、つまり新約聖書の時代には悪魔の仕事といえば神の王国が実現するのを妨げることだった。もちろん、今でもこれが悪魔の最大の仕事だ。『図解 悪魔学』p.102
人間を苦しめる存在として扱われている悪魔ですが、本来の目的は神の邪魔をすることにあったのです。神は、信仰心をもった人間の魂が十分な数になるまで、神の国の実現を待っているとされていました。そのため悪魔たちにとっては、人間を誘惑して信仰心を曇らせることが重要な仕事でした。
しかし、時代が進むにつれて悪魔仕事はどんどん増えていきます。
13世紀に、あるシトー会修道院の院長だったリカルモスという人物にいたっては、その著書の中で、自分に降りかかった不都合をみな悪魔のせいにしている。リカルモスはかつて塀を作るために石を集めたことがあるが、そのときすぐそばで悪魔が『なんて退屈な仕事だ!』と叫んだ。そのために根気が続かなくなってしまったという。『図解 悪魔学』p.102
こうした些細な仕事は、空中に無数に存在している下級の悪魔がおこなっていました。悪魔はウイルスのように人から人へとうつり、小さな仕事にも精を出すようになっていったのです。
悪魔は人の心を住処にできない、という説もあります。しかし、悪魔を生みだしたのは他でもない、人の心に巣食う恐れや怠惰といった感情なのかもしれません。

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本書で紹介している明日使える知識

  • 悪魔の体は何でできているか?
  • 悪魔の数はどれほど多いのか
  • 悪魔は何を好むのか
  • ベリアルの裁判
  • 悪魔の三位一体とは
  • etc... 

ライターからひとこと

悪魔が悪さをするのは当たり前、そう思っていたら大間違い。咳も笑いも悪のうち、種々様々な悪行をこなすのが悪魔のお勤めです。また、動物の姿になってみたり、空気中をさまよったり、地獄まで住処にしてしまう風来坊な一面も。
ほんとうは人間と仲良くしたいのに、仕事だから悪さをしている……そう考えてみたら、悪魔のことも少し違って見えるかもしれませんね。