わざわざ祈祷やお祓いをしてもらうほどではないけれど、最近ツイていないので気分を変えたい、手軽に運気を上げたい、などと思うことはありませんか?
そんな時のために、今回は魔除けに使える身近なアイテムとその使い方をご紹介します。
目次
魔除けに使えるアイテム①白米
最初にご紹介するのは白米を使った魔除けの方法です。
日本人の主食である白米は、魔除けのための“呪力を持った道具”として昔から使われてきました。
【方法】
・神仏の前などで白米をまく。
白米の呪力で周囲の精霊を供養し、魔を祓うというまじないがあります。「散米」「打蒔(うちまき)」「散供(さんぐ)」などと呼ばれ、平安時代によく行われていました。節分に豆をまいたり、新築の時の棟上げに餅をまくのと同じように、白米をまくことで周囲の聖域を浄化できるという仕組みです。
このまじないは出産の時にも行われることがあります。産室にまくことで、白米が汚れを祓ってくれると考えられています。
【方法】
・葬式の出棺の時、死者の近親者が「諸願成就願解き」と大声で叫びながら米をまく。
葬式の時に白米をまき、「願解き」のまじないをすることがあります。「願解き」というのは、死者が生前に行った神仏への祈願を解くという意味です。願解きを行うことで、この世に未練を残した死者が死霊となり、災いをもたらすことを防ぐことができるのです。
魔除けに使えるアイテム②箸
食事に関する魔除けのアイテムをもうひとつご紹介しましょう。箸です。
日本には古来から、先の尖ったものには神霊が宿るという考え方があり、箸も神聖な道具であると考えられてきました。箸は「生命の杖」と呼ばれ、神や霊魂、生命力に関する呪力を持つと考えられています。
【方法】
・山盛りのご飯に箸を立て、死者の枕元に置く。
・正月にお雑煮やおせち料理を食べる際、新しい白い箸を使う。
日本にはご飯に箸を立てて死者の枕元に置く「枕飯」という風習があります。この風習を連想させるため、食事の際にご飯に箸を突き立てる行為は「仏箸」などと呼ばれ忌み嫌われてきました。
ではこの「枕飯」、なぜ行われるのかご存じですか? 実は箸の呪力で死者の魂を呼び戻すために行うといわれています。つまり、箸には依り代として神霊や死者と交信する力があるというわけです。枕飯の風習を利用し、箸を依り代に願い事をするのもいいかもしれません。
箸の呪力は、別の風習にもつながりました。正月にお雑煮やおせち料理を食べる際に、新しく白い箸を使うという風習です。この白い箸も神霊を降臨させるためのもので、年神さまを招き宿らせることができるとされています。
魔除けや願い事に使えるアイテム①折り紙
今や海外でも親しまれている「折り紙」も、魔除けにぴったりのアイテムです。
紙が貴重だった時代、人々は紙には霊威がこもると考えていました。紙を折って折り目を作ると、そこに異界が生まれ、折り線と折り線とが重なる場所には霊的なエネルギーが蓄積されます。折り紙は異界を作り、そこに霊力を蓄積させることのできる重要なアイテムなのです。
【方法】
・千羽鶴を折る。
こうした考え方のもとに生まれたのが折り鶴です。紙に魂を折り込むことで霊力が蓄積され、さらに完成した折り鶴を何羽も重ねることで、より力を高めることができます。その結果、所願成就につながるというわけです。
【方法】
・紙人形を作り、海や川に流す。
折り紙は穢れや災厄を祓う時にも使われます。紙人形(形代)を作って自分の身代わりとし、病気などをもたらす穢れや災厄を乗り移らせて海や川に流すのです。穢れを祓うことで生命力を高めることができるともいわれています。
冠婚葬祭などで用いる折り紙も、形代と同様の呪力を持つとされています。結婚式で使う熨斗包や目録包、三々九度のお銚子に飾る雌蝶といった儀礼用の折り紙も、魂を浄化し新たな生命力を得ることを目的に作られているのです。
魔除けや願い事に使えるアイテム②こより
和紙を細長く切って指でよりをかけて作る「こより」。こよりにはモノを「結ぶ」という霊的な力があるといわれています。紙が貴重だった時代、こよりは魂を込めるという意味で贈り物を結わえるための紐として使われていました。現代でも、祝儀袋にかける水引などにこよりが使われています。
【方法】
・男女になぞらえたこよりを作り、結び合わせてその組み合わせを楽しむ。
江戸時代、女性たちの間で流行した遊びのひとつに「縁結び」「宿世結び」とよばれるものがあります。これは、こよりを作って男女に見立てて結び合わせ、偶然できた組み合わせを楽しむというものです。この遊びを真似て縁結びの占いをしてみるのも面白そうです。
【方法】
・意中の相手の名前をこよりに書き、神社の格子や神木に薬指か小指を使って結びつける。
江戸時代には、こよりを使った結婚祈願も行われています。結婚したい相手の名前をこよりに書き、神社の格子や神木に薬指または小指を使って結びつけるのです。
現代でも、こよりや細長く切った紙に好きな人の名前を書き、ご神木などに結びつけて縁結びのまじないができる神社があります。恋愛や結婚でお悩みの方は訪れてみるのもいいかもしれません。
白米、箸、折り紙、こより。今回は身近な4種類のアイテムをご紹介しました。願いや気分に合わせてこれらのアイテムを使い分け、皆さまが楽しい日々を過ごせますようお祈りしています。
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~クイズ~
日本には、ご飯に箸を立てて死者の枕元に置く「枕飯」という風習があるね。この枕飯は、いったいなぜ行われるんだろう?
①死者の魂を呼び戻すため
②向こうの世界でご飯を食べるため
③異界への橋渡しのため
日本には、ご飯に箸を立てて死者の枕元に置く「枕飯」という風習があるね。この枕飯は、いったいなぜ行われるんだろう?
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◇参考書籍
神秘の道具 日本編 |