ファンタジーRPG入門⑫

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第11回 第12回
書き手:上田明(HobbyJAPAN)

謹賀新年
『スターター・セット』『ダンジョン・マスターズ・スクリーン』『プレイヤーズ・ハンドブック』が手元に届き、みなさんはすでに冒険に飛び込まれたでしょうか。それとも新年、仲間たちと冒険への出立の約束をしたところでしょうか。お届けが遅れたことをお詫びします。

このシリーズは、翻訳、レイアウト(DTP)、校正までを日本で行って印刷用データを送り、他の言語版と合わせて印刷がされる体制となっています。そのなかで各言語での進行や都合があります。そして入稿後も権利者による内容のチェックと承認、印刷データとしての適合、それらの中で修正があれば作業と再度の確認が繰り返されます。すべてそろって印刷され、そして出来上がってからの輸出入の手続きと実際の輸送と、ワールドワイドでデータやモノが行き来し、多数の人々がかかわっています。
その中で翻訳チームとともに、内容の充実はもちろん、適切な案内から商品のお届けに努めてまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。

さて、この連載の第7回で『ダンジョンズ&ドラゴンズ モンスター・マニュアル』を紹介したが、その次はコア・ルールの三冊目、『ダンジョンズ&ドラゴンズ ダンジョン・マスターズ・ガイド』である。
セッションの進行役であるダンジョン・マスター向けの内容は、様々な要素について、TRPGの元祖である歴史の厚みから積み上げられてきた知識と先人の経験が集約されてきたものである。そして第5版で、さらに洗練されている。
DMG第5版は、大きく三部構成になっている。その序である「はじめに」から、順に紹介していこう。

はじめに

ダンジョン・マスターは楽しい! 英雄と悪党、怪物と宝物が盛りだくさんの幻想的なストーリーを物語るだけでなく、物語が展開される世界そのものを作ることができるのだから。君がすでにD&Dのゲームを運営しているにしろ、これからダンジョン・マスター(DM)をやってみたいと考えているにしろ、この本は君のための本だ。

この『Dungeon Master's Guide(ダンジョン・マスターズ・ガイド)』は、君がD&Dというロールプレイング・ゲームの遊び方の基本的な部分はすでに知っていることを前提に書かれている。君がまだ一度もD&Dを遊んだことがないなら、『ダンジョンズ&ドラゴンズ スターター・セット』こそ、初心者プレイヤーおよび初心者DMにぴったりの出発点だ。

本書は3冊から成るD&Dの基本ルールブックの一つだ。他の2冊は『Player's Handbook(プレイヤーズ・ハンドブック)』(プレイヤーたちがキャラクターを作成するために必要なルールと、君がゲームを運営するために必要なルールを含んでいる)および『Monster
Manual(モンスター・マニュアル)』(君のD&D世界に住まわせるための、すぐに使えるモンスターのデータ集)だ。

ダンジョン・マスター

ダンジョン・マスターこそ、D&Dというゲームの裏側にある創造の力そのものだ。DMは他のプレイヤーたちが探険するための世界を作り、物語の主軸となるアドベンチャー(冒険のシナリオ)を作成し、運営する。アドベンチャーの主眼は何らかの使命を果たすことであり、1回のゲーム・セッションで終わるような短いアドベンチャーもある。より長いアドベンチャーは、プレイヤーたちが複数回のゲーム・セッションを費やしてようやく解決できるような、大がかりなトラブルにまつわる物語だろう。そして、複数のアドベンチャーを並べてつなぎ合わせることでキャンペーンが生まれる。D&Dのキャンペーンは、何十個ものアドベンチャーを含み、何か月も何年も続くことすらある。

ダンジョン・マスターがなすべき役割は多い。DMはキャンペーンの制作者であり、他のプレイヤーのキャラクターたち(冒険者)が出くわすモンスターと罠と宝物を配置して、アドベンチャーを作っていく。DMは物語の語り部であり、他のプレイヤーたちが自分の周囲で起きている物事を想像する手助けをし、冒険者が予想外のことをやらかしたり、予想外の場所に向かおうとした際に起きることを、その場その場で考える。DMは俳優であり、モンスターや脇役キャラクターを演じて、それらに命を吹き込む。DMは審判であり、ルールを解釈し、ルールに従うべき時とルールを曲げるべき時とを見定める。

アイデアを出すこと、文章を書くこと、物語を語ること、その場で考えること、演技すること、ゲームに裁定を下すこと ―― これらの役割をこなすやり方はDMによって千差万別だ。やっていて楽しい役割もあれば、あまり楽しめない役割もあるだろう。ここで1つ、覚えておいて欲しいことがある。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は娯楽なのだから、君がDMをするのも楽しむためのはずだ。君が楽しめる要素に重点を置き、そうでない要素は気軽に済ませよう。たとえば、君がアドベンチャーを作ることを好きでないなら、既製品を使えばいい。細かいルールや世界設定について他のプレイヤーの手を借りても何ら問題はない。

D&Dのルールは、君および他のプレイヤーたちが楽しい時間を過ごすためにある。だが、ゲームを管理するのはルールではない。ゲームを管理するのはDMである君だ。つまり、君の目的は冒険者たちをぶっ殺すことではなく、冒険者たちの行動と決断を中心に動いてゆくキャンペーン世界を作り上げること、そしてプレイヤーたちに次のゲームも参加したいと思わせ続けることなのだ! 運が良ければ、君のキャンペーンでの出来事は最終セッションが終わった後も末長くプレイヤーたちの記憶に残り続けることだろう。


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次回は1月20日(土)公開予定!