今年も本気! 米軍・カナダ軍『NORAD』のサンタクロース追跡作戦


今年もクリスマスの季節がやってきました。

子供のころ、突然「空飛ぶサンタクロースを見た」などと発言し、にわかにクラス中の注目を集めた同級生はいませんでしたか?
とはいえ、サンタクロースは12月24日から25日という短い期間で世界中を駆け抜ける超高速飛行体。大人になってみれば、空飛ぶサンタクロースの姿を捉えるのは至難の業だと気づくでしょう。
しかし、それはあくまでも肉眼での話。世界には、最新鋭の機器を駆使して毎年サンタクロースを追跡している組織があります。

今回は、クリスマスに向けて今年もアップを始めている『北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)』の活動について紹介しましょう。

目次

NORADのサンタクロース追跡作戦とは?

子供たちにとってクリスマスは、年に何度もない“プレゼントがもらえる日”。毎年、全世界で何億、何十億という子供たちがサンタクロースの到来を楽しみにしています。

NORADは、そんな子供たちの「サンタクロースは今どこ?」という疑問に答えるべく、毎年12月24日17時(日本時間)から『サンタクロース追跡作戦』を展開。世界各地を飛び回るサンタクロースを「BIG RED ONE」のコールサインで呼び、その出発時から追跡しています。
さらに、子供たちからの問い合わせに対しては、NORAD職員とボランティア数百名という万全の体制で臨む本気ぶり! 過去には、ミシェル・オバマ元米大統領夫人もボランティアとして参加したことがあります。


現在では、プレゼント配達中のサンタクロースの様子を“リアルタイム”配信する公式サイト「ノーラッド・サンタ・トラッカー」(日本語版あり)も公開されています。サイト内の「サンタクロースの村」では、NORADが全力で調べ上げたサンタクロースの“機密情報”ファイルなども閲覧できますよ。


NORADってどんな組織?

先ほどから「NORADNORAD!」と連呼していますが、そもそも『北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)』とは何なのでしょうか。

NORADはボランティア団体でもなんでもなく、米軍とカナダ軍が共同で運営している統合防衛組織です。彼らの本来の任務は、24時間体制で人工衛星の状況やミサイル、爆撃機の動向を監視し、北米大陸を防衛すること。
ちなみに、NORADの司令官はアメリカ北方軍の司令官が兼任、副司令官はカナダ空軍の将官が務めるというのが慣例になっています。

サンタクロース追跡を長年の伝統にしている組織ではありますが、本業はかなりお堅い印象。まさに“北米の守護者”とも言うべき、重要な任務についているのです。


誤植と間違い電話から始まったサンタクロース追跡

空や宇宙の脅威から北米を守ることが任務のNORAD。彼らが60年以上続けているサンタクロース追跡作戦は、とある少女と米空軍大佐の心温まるエピソードがきっかけで始まりました。

1955年、NORADの前身『中央防衛航空軍基地(CONAD)』の司令長官 ハリー・シャウプ大佐につながるホットラインに、1本の電話が入りました。冷戦の最中だった当時、その電話が鳴っただけでも大変なことです。
緊張する司令部。しかし、その電話は司令官からではなく、どこかの小さな女の子からのものでした。

彼女は、震える声で「あなた、本当にサンタクロースなの……?」と尋ねました。
しかし、誰からの電話だと問い詰められた女の子は、ついに泣き出してしまいます。何かがおかしいと思ったシャウプ大佐は機転をきかせ、彼女のためにサンタクロースのフリをしました。そして、この電話がかかってきた理由を知ります。

大手百貨店シアーズが出した『サンタへの直通電話』の広告に誤植があり、よりによってCONAD司令長官のホットラインの番号が記載されていたのです!


その後も、子供たちからの電話は止みません。シャウプ大佐は子供たちに間違い電話だと告げず、部下と協力して対応にあたりました。サンタクロースが北極から南下した形跡がないかレーダーで調べ、子供たちに最新の調査結果を伝えたのです。
以来、CONADのサンタクロース追跡は恒例行事となり、1958年に創設されたNORADへと引き継がれました。

本気すぎるサンタクロース追跡方法

「えっ? サンタクロースはレーダーに映るの?」と、疑問に思った方もいるでしょう。
はい。NORADの強力なレーダーシステムをもってすれば、サンタクロースなど出発の瞬間から丸見えです。さすが米軍、といったところでしょうか。

また、サンタクロースが北極を飛び立ってからの追跡方法も、なかなか気合いが入っています。
なんでも、トナカイのルドルフ君の鼻は赤外線反応を示す謎仕様になっているそうで、ミサイル発射を警戒する人工衛星の赤外線センサーに余裕で引っかかってしまうのだとか。サンタクロースは宇宙からも捕捉されているのです。


空飛ぶサンタクロースとトナカイを撮影するのは、1998年に使用開始されたハイテク高速デジタルカメラ『サンタカム』の役目。サンタカムは世界各地に設置されていて、動画や静止画でサンタクロースの姿を捉えます。


さらに、作戦にはジェット戦闘機も使用。米軍・カナダ軍の戦闘機パイロットたちがCF-18、F-15、F-16、F-22を操縦し、サンタクロースのソリをエスコートします。
ちなみに、サンタクロースのソリはジェット戦闘機より速い――というか最高速度は光速を超えるらしいのですが、手加減して一緒に飛んでくれるそうですよ。


このように、NORADサンタクロース追跡作戦とは、レーダーや人工衛星、サンタカムからジェット戦闘機まで投入する“総力戦”です。
サンタクロースは天候次第でルートを変えるそうですが、現在位置や進路はNORADが常に把握。公式サイトや公式SNSで最新の位置情報を提供しています。

ちょっとした偶然から始まったNORADサンタクロース追跡。隊員たちは、これを自分たちにしかできない最高の任務だと言います。子供たちの夢を守るために全力を尽くすのが任務だなんて、素敵ですよね。

今年のクリスマスは、「ノーラッド・サンタ・トラッカー」で空飛ぶサンタクロースを目撃してみませんか?