ファンタジーRPG入門④


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書き手:上田明(HobbyJAPAN)

前回までに「D&Dとはどういう遊びなのか」「D&Dが表現する剣と魔法の世界とは」、そして「基本的なルールの使い方」を紹介してきた。第4回の今回は、それらを踏まえセッションにおいてプレイヤー・キャラクター(PC)たちがパーティーを組んで挑み、ダンジョン・マスター(DM)が進行させる冒険のストーリーの筋立て ― アドベンチャー ― について紹介する。

アドベンチャー


『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は、ダンジョン・マスターの用意したアドベンチャー(冒険)に、キャラクターの集団が挑むという形で進む。キャラクターにはそれぞれ固有の“できること”があり、それは能力値、技能、クラス特徴、種族的特徴、装備品、魔法のアイテムによってあらわされる。キャラクターはそれぞれ異なっており、さまざまな長所と欠点を備えている。それゆえ、いかなる冒険者パーティ(集団)が最強かといえば、キャラクターたちが互いに助けあい、仲間の弱点を補いあうパーティこそが最強である。冒険者たちが協力しあわないと、アドベンチャーを突破することはできない。

アドベンチャーはゲームの中心であり心臓である。アドベンチャーには始まりと中ほどと終りがある。アドベンチャーはダンジョン・マスターが自作することもあり、店で買ってきてDMの必要や好みに応じて微調整することもある。いずれにせよアドベンチャーは興味深い土地を舞台にする。広大な地下迷宮、朽ちかけた古城、見渡す限り広がる荒野、混みあった大都市。そしてさまざまなキャラクターが出演する。君と卓を囲む他のプレイヤーたちが作り、演じる冒険者もいれば、プレイヤーではなくDMが動かすノンプレイヤー・キャラクター(NPC)もいる。NPCには雇い主や後援者もいれば、仲間、敵、PCに雇われて働く者、冒険の背景に出てくるその他大勢もいる。NPCの1人が悪党で、その悪だくみがアドベンチャーの流れを少なからず推し進める、ということも多い。

アドベンチャーが進むにつれて、キャラクターたちはさまざまな者、物、事に出くわし、これと何らかの形で関わらねばならなくなる。冒険者たちには(そして他のクリーチャーにも)、全力をつくして他者を戦闘で抹殺/捕獲せねばならないこともある。また、冒険者たちは目的達成のために他のクリーチャーを(時には魔力ある物体を!)説き伏せねばならない、ということもある。そして冒険者たちはしばしば、パズルを解き、障害物を迂回し、隠されたものを見出し、現状の裏に潜む秘密を暴くために時を費やす。冒険者たちは世界を探険し、いずれの道を行くべきか、次に何をなすべきか決断を下す。

アドベンチャーの長さや複雑さはさまざまである。短いアドベンチャーの場合、待ちうける脅威は数えるほどで、アドベンチャーはゲーム・セッション(ゲームのための集まり)1回だけで終る。長いアドベンチャーには数百回の戦闘、社交的やりとり、その他の脅威があり、何十回ものセッションを通じて進む。実時間で数週間や数ヶ月にわたることも珍しくない。アドベンチャーは普通、冒険者たちが休息し冒険の収穫を満喫するために文明の土地へ戻ってゆくところで終る。

けれど、それが物語の終りというわけではない。個々のアドベンチ ャーはTVドラマの1話1話のようなもので、複数の面白い場面から成っている。そしてキャンペーンというのはTVドラマ全体のようなもの、いくつものアドベンチャーをつなげたもので、そこでは同じ冒険者たちが、物語を最初から最後まで辿ってゆく。

アドベンチャーの3つの柱


冒険者たちは、プレイヤーの思いつくことなら何でもやろうとすることができる。しかしここでは冒険者の活動を3種に大別しておくことが有益であろう。すなわち探険、社交的やりとり、戦闘である。

探険には、冒険者たちがこの世界を移動することと、冒険者たちが注意を要する物や事と関わりあうことが含まれる。探険はプレイヤーが“自分のキャラクターに何をさせたいか”を説明し、ダンジョン・マスターが“するとその結果何がおきたか”を語る、というやりとりを重ねて進む。大きなところでは、一行がゆるやかな高低のある平原を丸1日かけて旅したり、地下洞窟を1時間かけて進んだりする。小さなところでは、1人のキャラクターがダンジョンの一室で1本のレバーを引き、何が起るかを見てみようとする。これらはすべて探険の一環である。

社交的やりとりでは、冒険者たちは他のなにものかと言葉を交す。たとえば偵察に来たゴブリンを捕えて、ゴブリンのねぐらに通じる秘密の入口のありかを吐けと迫るのも、助け出した囚人から情報を得よはじめにうとするのも、オークの族長に慈悲を乞うのも、おしゃべり好きな魔法の鏡をうまく説き伏せて遠いかなたの景色を映してもらうのも、すべてこれに当てはまる。

第2部(特に第7章、第8章)のルールは、探険や社交的やりとりと深いかかわりがある。第3章のクラス特徴や第4章の背景の要素の中にも、探険や社交的やりとりに役立つものが少なくない。

戦闘は第9章の主題である。キャラクターやその他のクリーチャーは武器をふるい、呪文を発動し、有利な位置取りのために動き回り、その他さまざまなことをする。目的は敵を打ち負かすこと。一口に打ち負かすと言っても、敵を皆殺しにすることもあれば、捕えることも、壊走させることもある。戦闘はD&Dのセッションの中で一番かっちりと構造の決った部分である。クリーチャーはそれぞれ順ぐりに自分のターン(手番)を行ない、全員に行動の機会が巡ってくる。白熱の戦いの中でも、冒険者たちには色々な面白い離れわざをやってのける機会がある。盾に乗って階段を滑り降りることも、周囲の環境に働きかける(たとえば、しくみのわからぬレバーをぐいと引くなど)ことも、仲間や、敵や、敵でも味方でもない冒険者の一行といったクリーチャー相手に会話その他を行なうこともできる。


『ダンジョンズ&ドラゴンズ プレイヤーズ・ハンドブック 日本語版』P.7~8 「アドベンチャー」、P.8「アドベンチャーの3つの柱」より。掲載章の言及はすべてPHB日本語版を指す。