本来は怪物じゃなかった? ガーゴイルの由来

ガーゴイル

ガーゴイルといえば、現代では石像の怪物として知られています。しかし、意外にもガーゴイルが怪物となったのは、20世紀後半のことです。
ではそれまでガーゴイルは、どのような存在だと考えられていたのでしょうか。
今回は、『幻想生物 西洋編』(山北篤 著)より、ガーゴイルを紹介します。

目次

ガーゴイルの由来と怪物として扱われる理由

ガーゴイルとは、フランス語のガルグユ(gargouille)が英語に入ってきたもので、さらに古くは、ラテン語で水の流れる音を意味する“gar”であると言われています。

寺院などの雨樋の先に作られた、雨水を外に流す機構。それがガーゴイルです。
その姿は醜い悪魔を象った石像で、蝙蝠のような羽が生えていることもあります。
ガーゴイルのルーツは古代ギリシャの建築などにも見られ、ライオンの口から雨水が流れだす仕組みなども作られていました。

通常、胴体の中にパイプが通っていて、口から水を外に流すようになっていますが、現在ではその機構を持たない飾りとしてつけられた石像も、ガーゴイルと呼ばれています。

恐ろしげな石像を建物につける理由は、日本の鬼瓦を思い浮かべればわかりやすいでしょう。恐ろしい姿をした作り物を据えることで、本物の災厄を追い払おうという考えからです。

建造物としてのガルグユには、異なる伝承もあります。
かつて、セーヌ川左岸には広大な沼地があり、そこにガルグユと呼ばれる怪物が住んでいました。それは口から水を吐く大蛇もしくはドラゴンで、船を転覆させたり洪水を起こしたりと、様々な悪事を行っていました。 7世紀のルーアン大司教であった聖ロマンは、死刑囚を囮に使ってガルグユを陸におびき寄せ、手にした十字架でおとなしくさせます。そしてなんと、ストラ(司祭が儀式の時に身につける首からかける帯)を引き綱のように使って、ガルグユを町中に連れて行き、人々に殺させたのです。
倒したガルグユの死体は燃やしましたが、どうしても燃え残ってしまった首だけは、大聖堂に置いて神の力の証としました。
ガルグユ退治の手助けの功として、死刑囚は命を助けられました。それ以後、聖ロマンの後を継ぐ司教には、1年に1人だけ死刑囚に恩赦を与えることができるという特権が与えられたのです。この恩赦の特権は、1790年まで保持され ました。
この怪物の首が、水を吐くという共通性から、建物のガーゴイルとなったという伝説です。

いずれにせよ、ガーゴイルは石像であり、怪物ではありませんでした。
ところが、今にも動き出しそうなその不気味さから、現代のポップカルチャーの中で、石像の怪物として使われるようになりました。これが、我々の知る怪物としてのガーゴイルのはじまりなのです。

ディズニーのアニメ『ノートルダムの鐘』(1996)に、ガーゴイルが登場しているのはご存知でしょうか。ユーゴー、ヴィクトル、ラヴァーンの3人のガーゴイルが、主人公カジモドを励ましたり、冗談を言ったりと、親友として描かれています。

ガーゴイル2
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ライターからひとこと

屋根から街を見下ろしているガーゴイルにはユーモラスな魅力があります。 石像から怪物へ。今後もガーゴイルは建物の魔除けとして、ファンタジー世界の住人として、人々に愛されてゆくに違いありません。