恐怖! 人類を滅亡に導く「歩き回る植物」3種

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1950年代、SF界に怖ろしいモンスターたちがやってきました。
流星群やUFOとともに現れた彼らは、植物でありながら、種の存亡をかけて人類に襲いかかる生物だったのです。今回は『花の神話』(秦寛博 著)より、往年のSF作品に登場した不気味な植物たちをご紹介します。 また、一部の植物については、万が一遭遇したときの撃退法もあわせて紹介していきます。

目次

歩き回る凶暴な食肉植物「トリフィド」

トリフィドは、1951年に発表されたイギリスの作家ジョン・ウィンダムの長編、『トリフィド時代:The Day of the Triffids』に登場する食肉植物です。
1963年にはスティーヴ・シークリー監督によって、同名タイトルで映画化されました。 邦題は『人類SOS!』となっており、これだけでトリフィドがいかに人類にとって脅威であるかがわかります。

物語は、ある日の流星群によって多くの人が失明し、世界が混乱するなかで、植物園から飛びだしたトリフィドが人類に襲いかかるというお話です。

トリフィドは樹木で、「三つに裂けた」という意味の名を持っており、その名のとおり3本の脚が生えています。
もともとロシアで秘密の目的のために開発されたものでしたが、移動中に飛行機事故で落下し、世界中で繁殖しました。

以下に、小説版トリフィドの特徴をあげてみます。

 【トリフィドの主な特徴】
・3本脚の樹木で歩行する
・2〜3メートルにまで成長し、成長するにつれて凶暴化
・幹本体上部に、まばらな革質の葉
・幹の先端が漏斗状になっており、 中に3メートルの鞭のような弦がある
・漏斗にはネバネバする液体が入っている(蠅などを捕食し、消化) 
・時期になると莢がはじけて種子を飛ばす(発芽率5%)
・棒状体で幹を叩き、仲間とコミュニケーションをする

 【トリフィドの攻撃法】
・弦で動物や人間の頭を殴り倒す
・弦の先の房にある毒嚢(どくのう)で相手を悶絶させる 
・弦で屍肉をはぎ取り、漏斗に取り込む

このように怖ろしすぎるトリフィドですが、人間にとっては、最上質の植物油が取れるというメリットがあります。
ただし、房やトゲを取ってしまうと油の質が落ちてしまいますので、柱などにしっかり鎖で結びつけて、防護服を着込んで採取します。

しかし、万が一、トリフィドに襲われたときはどうしたらいいのでしょうか?

 【トリフィドの撃退法】
 ・火炎放射器などで焼却する
 ・至近距離の散弾銃で射撃する
 ・完全な防護服をつけた状態であれば、ナタで斬る

トリフィドは火に弱く、また棒状体を切除すると弱体化するようなので、ナタで斬ってみるのもいいかもしれません。
なお、ピストルはほとんど役に立ちませんのでご注意ください。

UFOに乗ってやってきた植物「遊星よりの物体X」

『トリフィド時代』と同年に発表された、クリスチャン・ネイビー監督の映画『遊星よりの物体X:The Thing from Another World』には、人型の植物が登場します。

物語は、ある日、北極に墜落した空飛ぶ円盤の搭乗員が、氷漬けのまま発見されたところから始まります。
搭乗員は人型で放射能を発しており、その生体は動物ではなく植物といえるものでした。 アラスカに駐在していた米軍の大尉は、搭乗員を調査のために基地まで運びます。そして、そこから逃げ出した搭乗員が再び基地に戻り、人々に襲いかかるというお話です。

以下に搭乗員の特徴をあげてみます。

【搭乗員の特徴】
・指先には鉤爪
・神経がない
・失った腕が再生する
・動物としての細胞組織がない
・手のひらに発芽を待つ種子がある
・種子は血液で栽培が可能  

搭乗員は、シベリアン・ハスキーと格闘して殺してしまうほどですから、かなりの強さです。 このハスキーの血液から搭乗員の種子が育てられようとしていたのですが、それに気づいた科学者は、輸血用の血液で種子を栽培してしまいます。種子はいくつもの莢をつけ、聴診器で聞いてみると、まるで胎児の鼓動のような音が聞こえました。

ちなみに、この搭乗員も、最後は火や電気などで撃退されています。

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肉体を乗っ取る植物「ボディ・スナッチャー」

1955年には、さらに不気味な生物「肉体さらい(ボディ・スナッチャー)」が登場します。 彼らは人間や動物の肉体をコピーして、その生物になり代わる生き物です。

登場作品は、ジャック・フィニィの長編小説『盗まれた街:The Body Snatchers』ですが、この作品も「ボディ・スナッチャー」のタイトルで、何度も映画化されています。

物語は、ある惑星が死滅に瀕した際、その星の知的生命体が、種の存亡をかけて「宇宙種子」となり地球にやってきます。それこそが「ボディ・スナッチャー」でした。
街は次々と人間たちをコピーするボディ・スナッチャーに乗っ取られてゆきます。それに気づいたあるカップルが、逃亡し、反撃に転じようとするお話です。

以下にボディ・スナッチャーの特徴をあげます。

【ボディ・スナッチャーの特徴】
・直径90センチの球体の種
・莢は茎を伸ばし、大地に根付く
・莢は成熟すると宇宙を漂流できる
・電磁波によって付近にある有機物を察知できる
・有機物の構造パターンを読み取り、莢の中にコピーを作る

空き缶や折れた斧の柄など、生物でなくてもコピーができます。
ただしそのようなものをコピーしてしまうと、ボディ・スナッチャーは枯れてしまうようです。

生き物をコピーした場合、コピーされた側はどうなるでしょうか。
本体は堅さ がなくなり、やがて灰色の斑点が表面にあらわれると見る間に広がって、すべてが塵になってしまいます。つまり存在が消滅してしまうのです。

ボディ・スナッチャーのコピーを逃れるには、完璧なコピーができる前にその場を離れるしかありません。
しかしボディ・スナッチャーたちは、活動中の動物たちの形態パターンが一定しないことを知っており、人間の場合は眠っている間にコピーを開始します。所要時間は一晩もかかりません。
途中で目が覚めたり、誰かが気づいたりしない限りは、その場を離れるというのは難しそうです。

このコピーのクオリティは大変高く、人間をコピーした場合は、記憶も仕草も完璧です。 ただし、人間としての生殖機能はなく、寿命もたったの5年程度です。また、子どもや芸術家など、感性の優れたものは、そのわずかな感情の差異で本物か偽物かを見抜けるようです。

しかし姿も記憶も完璧にコピーされ、本体が塵となって消えてしまっている以上、それが偽物であると確信を持つのは、かなり困難なのではないでしょうか。

ボディ・スナッチャーたちは人間に変形し、他の莢を人目に付かないところに移動させます。
そして次々と仲間を増やしてゆきます。様子がおかしいと思ったときには、まわりの人々のほとんどが、ボディ・スナッチャーになっている可能性があるのです。

以上、3種の歩き回る植物をご紹介しました。 もしも「その日」が来てしまったら、あなたならどうやって生き延びるでしょうか?

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本書で紹介している明日使える知識

  • 青い花
  • 破滅の花
  • 星を翔る種子
  • 植物の世界
  • etc... 

ライターからひとこと

「何かに食われる」ということの恐怖は当然のことながら、知らぬ間にまわりの人が別の生き物になっていたというのは、なんともいえない恐怖感がありますよね。これがまた相手が植物であれば、いっそう不気味さも増すというものです。
本書では、他にも美しい花々や神話の紹介もありますので、SFやホラー好きの方のみならず、癒やされたい方にもおすすめですよ。