星座の誕生に秘められた、意外と実用的な「生活の知恵」とは

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星座のなりたちについて、皆さんこう思ってはいませんか?
「古代の人々は空を見上げ、星と星を線でつないで図形 として受け止めた。そして、簡素な図形から空想を膨らませてキャラクターのビジュアルイメージを星々に投影していった」と。
人が空想をするのが好きなのは、今も昔も同じではないでしょうか。
しかしながら、一番はじめに 星座誕生した理由は、もっと生活に根ざしたものだったのです。
『星空の神々』(長島晶裕/ORG 著)では、星にまつわるさまざまなエピソードを紹介しています。今回はその中から、星座誕生についてお話ししましょう。

目次

星座の誕生①いつ、誰が作ったの?

私たちが生まれたとき、すでに空には星がありました。

空がきれいな地域に住んでいる人はもちろん、限られた数の星しか見えない都会に住んでいてもまったく星が見えないことはありませんし、人によってはプラネタリウム で満天の星空を鑑賞する機会もあった でしょう。
例えば両親に「あれがこぐま座だよ」と言われて、「あの点々のどこらへんが?」と疑問に思った方は少なくないかもしれません。

朝の情報番組 では、当たり前のように十二星座占いが流れます。その日の運勢を見て「今日の会議ではうまく話せるかも!」と期待に心を躍らせることもあれば、「どんな結果であろうと関係がない……」と意に介さないパターンもありますよね。

現代人にとって、星座は幼い頃から理由もなく存在しているものです。
幼い頃は、星々がその並び方によって乙女や獅子と見做されるのは、誰が決めたでもなく「そういうもの 」なのだと思っていたのではないでしょうか。
それは古代 の人々が、星の動きに法則があると理解しながらも、天空のできごとは神の秩序であり「そういうもの」なのだと思っていたことに似ているのかもしれません。

しかしながら、現代の日本人の多くは、 成長するうちに「星座というものは古代の人々が勝手に星々を擬人化(動物化・無機物化)したものだ」と知ることになります。

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星座の誕生②古代では星空がマップの代わり?

古代の人々は星座創作しましたが、それは星という光の点から物語をつくって楽しむためではありませんでした。
はじめはただ星の位置がわかれば良かったので、星座というものは作っていなかったのです。

それでは、なぜ星の位置を知る必要があったのでしょうか?
当たり前ですが、古代にはスマホのマップなどありません。そのため、道に迷ってしまわないよう、誰にでもわかる目印が必要でした。
あるとき、人々は気が付きます。現在では北極星と呼ばれる明るい星が真北からほとんど動かないことに。同時に、北極星を目印にすることで、方角を知ることができると気が付きました。
その発見により、北極星は古代の人々にとって貴重な道しるべとなったのです。
また、星がどのくらい移動したかによって夜の時間の経過を知ることができる。さらに、「桜が咲くころに見えていた星が、夏が過ぎ、秋が来るころには見えなくなり……また見えるようになったと思ったら、再び桜の咲く季節がやってきた」というように、季節の到来とともに星が移動しているのに気がつけば、より大きな時間の単位である「月」や「年」の経過も正確に知ることもできる。『星空の神々』p.11~12
このように、星々は季節や時間を知るためにも役立ちました。現代では、カレンダーを見ればすぐに「あと3日寝たら正月だなあ」と知ることができますが、古代の人々は星空を見上げて季節のイベントの到来を待ちわびたのです。お祭りが好きな日本人にとっても、たいへん有意義な発明ですね。

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星座の誕生③物語形式で伝えられた理由

星の位置から方角や季節、時間などを読み解く技術はこうしてできたのですが、今度は技術を他者に伝えやすくする必要が生じました。
当時はまだ文字が生まれていなかったため、すべて口伝えによって次の世代へと教えていかなければならなかったのです。

しかし、「一番明るい星の右上と左下にもう少し暗い 星があって、さらにそれを囲む5つの星がある方向に家があるから迷子にならないようにね」などと子供に言っても、ちんぷんかんぷんでしょう。

そのため、大人たちは星の位置を動物や人物の形に例え、星座として教えました。それは、ただの点の集合体に命あるキャラクターを見出した瞬間だったと言えるでしょう。
そのうちに星座は、ただの動物や人間ではなく、すでに馴染みのある物語のキャラクターに変わっていきました。

その物語というのが神話です。

彼らは崇拝や畏怖の対象であった神話に登場する人物や怪物たちのビジュアルを星座にあてはめたのです。

点の集合体にキャラクターイメージをあてはめるという行為に覚えはありませんか?
そう、昔のゲーム機や古い携帯電話の画面に表示されていたドット絵です。
その頃のゲームで遊んでいた方は、小さな点の集合体でしかなく不鮮明なキャラクターから、各々にビジュアルイメージを膨らませて遊んでいたはずです。

厳密に言えば少し違うかもしれませんが、遥か昔の人たちも、似たようなことを行っていたのですね。


本書で紹介している明日使える知識

  • 古代エジプトの時間の概念
  • ・プトレマイオスが考えた宇宙の構造
  • 新たなる星座誕生
  • ギリシア神話を作り上げた民族
  • ギリシア神話・主要神人名録
  • etc... 

ライターからひとこと

星座といえば、生まれた月日から勝手に12 個のひとつにカテゴライズされていて、それをもとにした占いが巷にあふれていますよね。
本書には星座の起源をはじめ、占星術に使用されるようになった理由まで書かれています。
天体はすべて、規則正しく動いています。古代において、それは神のわざ以外のなにものでもないと考えられたでしょうし、星の動きに合わせて季節が変わったように見えたかもしれませんね。