本格的な夏を迎える前に罪や穢れを清める「夏越の大祓」に行こう!

夏越の大祓

2017年は新暦の7月23日から8月21日が、旧暦の6月にあたります。
古来より日本では、旧暦の6月に大祓(おおはらえ)という儀式が行われてきました。半年間の罪や穢れを取り除くため、年2回行われる神事です。
『図解 巫女』(朱鷺田祐介 著)では、旧暦6月に行われる夏越の大祓(なごしのおおはらえ)をはじめ、同じく旧暦6月に行われる神事、月次祭(つきなみさい)についても解説しています。今回は、本格的な夏を迎える前に知っておきたい「夏越しの大祓」にまつわる神事についてお話しましょう。

目次

夏越の大祓~罪や穢れを洗い清めよ~

夏越の大祓とは、旧暦の6月末日に行われている神事です。大祓は、1年間に2回行われており、12月の晦日には師走の大祓という神事があります。
大祓には、人が知らないうちに犯してしまう罪や穢れを洗い清め、災厄を取り除く意味があります。
夏越しの大祓では疫病が広まりやすい夏に、心身を祓い清め、病気をしないようにするため「茅の輪くぐり」という神事が行われます。「茅の輪くぐり」に使われている「茅(ちがや)」とはイネ科の植物で、利尿消炎作用がある薬草なのです。

茅の輪くぐりの方法は、古い歌「水無月の夏越しのお祓いをする人はちとせの命のぶというなり」を唱えながら、茅の輪を最初に正面からくぐり右に回ります。それからまた茅の輪を正面からくぐり、左に回ります。無限記号の∞の字を描きながら3回茅の輪を回り、拝殿に向かいます。こうすることで、心身の罪穢れを祓い、病気に負けないような力をいただきます。

夏越の大祓は、名越、六月祓(みなづきはらえ)、荒和の祓(あらにごのはらえ)ともよばれています。形代(かたしろ)に穢れをうつし、川や海に流したり、家畜の病気が流行らないように牛馬を海につれていったりする地域もあるようです。

罪や穢れを清め、病気が流行らないようにと祈る気持ちは皆 同じなのですね。

茅の輪くぐりの由来を探る! スサノオとの関係

茅の輪くぐりは神代の故事によるもので、スサノオが関係しています。
スサノオとは行疫神である牛頭天王(ごずてんのう)や武塔神(むとうのかみ)と同一とも言われています。
『備後国風土記(びんごのくにふどき)』によると、スサノオは旅の途中、蘇民将来(そみんしょうらい)と巨旦将来(こたんしょうらい)という兄弟に泊めてほしいと頼みました。兄の蘇民将来は貧しく、弟の巨旦将来は裕福でした。お金持ちの巨旦将来はスサノオの申し出を断り、貧しい蘇民将来はスサノオをもてなしました。
スサノオはお礼に蘇民将来に悪病退散の茅の輪の作り方を教え、小さな茅の輪を腰につけさせました。その年、スサノオが疫病を流行らせ、蘇民一家以外は亡くなってしまったそうです。

なかなか興味深い話ですよね。蘇民将来、巨旦将来と言う名まえは渡来民との関係があるとも言われています。

夏越の大祓

◎関連記事
神聖のシンボル! 巫女さんの装束ってどんな衣装?
女子なら一度は憧れる?「巫女さん装束」の雅やかな装飾品

月次祭、神今食ってなに? 今も続く撤下品をいただく習慣

皆さんは撤下品(てっかひん)をいただいたことはありますか?
撤下品とは神と同じものを食べることで、神の力を得る神今食(かむいまけ)からきています。神今食とは、天皇が神々にご飯などの神饌(しんせん)を奉り、天皇自らも食べることです。
この神今食という儀式は、宮中祭祀の月次祭(つきなみさい)で行われていました。月次祭とは本来月ごとに祭る意味でしたが、宮中祭祀の月次祭は6月と12月の2回行われ、国家の静謐や聖体の福祉などを祈請します。一般の神社の中には月例の神饌神事(しんせんしんじ)や月次講社祭(つきなみこうしゃさい)、月始祭、満月祭などを月次祭と呼んだりする場合があります。

古くは西暦702年、文武天皇が中和院に御し、神今食の儀式が行われていました。しかし、応仁の乱で月次祭は廃絶されてしまいます。その後、伊勢神宮では明治時代に復興されましたが、宮中では復活していないそうです。
神今食は新嘗祭(にいなめさい)とも似ていますが、新嘗祭のように秋の新米を祝うことはありません。神今食は、月毎の晦日(つごもり)における神威の再生記念祭などで、神と同じものをたべることが起源なのかもしれません。

こうして長い年月を経て、神社を訪れたときに撤下品をいただく風習が残っています。

夏越の大祓


本書で紹介している明日使える知識

  • 巫女はブルーカラー
  • 巫女になる方法
  • 神社に所属しない巫女
  • 参拝の作法
  • 神職養成機関で学ぶこと
  • etc... 
◎Kindleで読む




ライターからひとこと

本格的な夏もすぐそこ。夏といえば、夏祭りも楽しみの一つですね。
スサノオを祭っている祇園神社、津島神社、八坂神社では祇園御霊会(ぎおんごりょうえ)を旧暦の6月末である7月に行います。御霊会は次第に「夏越の大祓」と習合し、都市型の夏祭りとなっていきました。 夏祭りに行くときは、ぜひ本書の夏越の大祓を思い出してください。そして、茅の輪くぐりを行っている神社があったら、ぜひ訪れて、半年間の行いを振り返ったり、罪や穢れを祓ってみたりしてください。きっと清々しい気分になること間違いなしです。残り半年を心身ともに健康に過ごせるようにしたいですね。